資源高が電力業界を直撃する中、“西の雄”の関西電力は2022年3月期決算でライバルの東京電力、中部電力に圧勝した。しかし、関電の財務基盤を損ねる「四重苦」が目前に迫る。特集『決算書100本ノック!2022夏』(全21回)の#6では、関西電力に迫る「四重苦」の正体を解き明かす。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
原発で資源高に耐えた快進撃から一転
今期は750億円の最終赤字に転落見込み
大手電力会社の2022年3月期決算は、資源高の影響で“総崩れ”となった。そんな中、独り気を吐いたのが関西電力だ。最終黒字858億円を確保し、ライバルの東京電力ホールディングス(HD)、中部電力に圧勝した。
関電の勝利を読み解く重要な指標は、「電源構成(発電電力量に占める発電施設の割合)」だ。とりわけ資源高の局面では、燃料価格に左右されない原子力発電所をどれだけ稼働させたかが、鍵となる。
東電HDと中電は保有する原発を1基も稼働できなかった。これに対し、関電は保有する原発7基のうち5基が稼働したことで、燃料費1140億円の削減に成功。原発の強さをまざまざと見せつけたのだ。
ところが、である。関電は快進撃から一転し、23年3月期は750億円の最終赤字に転落する見通しだ。絶頂からどん底へ――。ジェットコースターのように業績が急落するのは、なぜか。
次ページからは、関西電力を襲う「四重苦」の正体を財務諸表の深読みから解き明かす。関電が何としても避けたい“最恐”シナリオとはどのようなものなのか。