日本がウクライナ問題において
「最強硬派」であるべき理由

 日本は今、中国の軍事力の急激な拡大、そして台湾侵攻・尖閣諸島侵攻の懸念、北朝鮮の核ミサイル開発という安全保障上の重大なリスクを抱えている。

 そうした状況下では、たとえウクライナ問題の解決に向けた手段とはいえ、「力による一方的な現状変更」に屈する形での停戦や妥協案は絶対に容認しないという、揺るぎないスタンスを取らねばならない。

 もし日本が中途半端な姿勢を示し、これらの譲歩案を少しでも認めたら、中国が理屈をつけて台湾・尖閣に侵攻してくる可能性はゼロではない。侵略を試みる国が、屁理屈を弄(ろう)して侵略を正当化する余地を、絶対に与えてはならないのだ。

 つまり、ロシアによる「力による一方的な現状変更」に屈した譲歩案を認めないことは、単にウクライナ紛争に対する日本の立場を示すこと以上の意義がある。他国に日本の領土を侵され、国民の命を奪うことを防ぐ「安全保障政策」そのものだからである。

 日本は国際社会において“穏健そうな国”とのイメージを持たれがちかもしれない。だがウクライナ問題においては、ウクライナの徹底抗戦と領土の回復を、どの国よりも強く支持する「最強硬派」でなければならない。

 日本はウクライナ戦争において、米英仏独伊のような勝者ではない。日本はあくまでNATOに協力する「グローバルパートナー国」にすぎず、今回の戦争によって勢力圏が拡大したわけではない。

 むしろ、これから領土を脅かされる懸念がある国だ。そうした日本の置かれた厳しい現実を、日本国民はどこまで理解しているのだろうか。

 他人事のようにニュースを眺めている日本国民が多いとすれば、それは大きな問題である。