世の中の多くのことは、
白黒みたいに単純な構造ではできていない
家族の問題を抱えている人、善意で介入しようとする人の両方に対して、私は「とりあえず、そういうことがあることを知ってほしい」としか、今は言いません。
両方共に長期間、あなた方の人生で「これが世界の常識だ」と信じ切っていたことであるはずです。
一般的に「大丈夫?」と心配してくれる手を振り払うことは、悪だと思うでしょう。「大丈夫?」と心配し、手を差し出すことは、善だと思うでしょう。
しかし、この世の中はそんな白黒みたいに単純な構造でできていません。
そんなに簡単な世界であるならば、あなたはこの本を手に取ることはなかったのではないでしょうか。
あなたの心の苦しみ、辛さ、涙した日に簡単な言葉一つ、簡単な行動一つを添えるだけでは解決しないから、あなたは苦しく、辛く、もがき苦しんできたのですよね?
私はそう思うからこそ、お節介を人からされない権利、そして人にしない気遣いを、この連載で「知って」ほしいのです。
【POINT】
「本当に助けてほしい」と相手が言うまでは、何もしない。
元内科の精神科専門医
中高生時代イジメにあうが親や学校からの理解はなく、行く場所の確保を模索するうちにスクールカウンセラーの存在を知り、カウンセラーの道を志し文系に進学する。しかし「カウンセラーで食っていけるのはごく一部」という現実を知り、一念発起し、医師を目指し理転後、都内某私立大学医学部に入学。奨学金を得ながら、勉学とバイトにいそしみやっとのことで卒業。医師国家試験に合格。当初、内科医を専攻したが、医師研修中に父親が亡くなる喪失体験もあり、さまざまなことに対して自信を失う。医師を続けることを諦めかけるが、先輩の精神科主治医と出会うことで、精神科医として「第二の医師人生」をスタート。精神科単科病院にてさまざまな分野の精神科領域の治療に従事。アルコール依存症などの依存症患者への治療を通じて「人間の欲望」について示唆を得る。現在は、双極性障害(躁うつ病)や統合失調症、パーソナリティ障害などの患者が多い急性期精神科病棟の勤務医。「よりわかりやすく、誤解のない精神科医療」の啓発を目標に、医療従事者、患者、企業対象の講演等を行う。個人クリニック開業に向け奮闘中。うつ病を経験し、ADHDの医師としてTwitter(@DrYumekuiBaku)でも人気急上昇中。Twitterフォロワー6.5万人。『発達障害、うつサバイバーのバク@精神科医が明かす生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』が初の著書。