立憲民主党はなぜ参院選で大敗した?「提案型野党」が支持されない理由Photo:PIXTA

7月10日に投開票が行われた参院選は、自民党の大勝に終わった。一方、これに抗するはずの立憲民主党は、現職が何人も落選する惨敗だった。立憲民主党は、なぜここまでの「大敗」を喫してしまったのか、これから何をすればいいのか、徹底検証する。(政策コンサルタント 室伏謙一)

参院選は自民大勝
一方の立民は「大敗」

 去る7月10日に投開票が行われた参議院選挙は、自民党の大勝に終わった。これまでの選挙では、「大勝」とはいっても実は自民党の得票数は減っているということがあったが、今回の選挙では、前回の3年前の参院選と比べて、選挙区、比例区ともそれぞれ50万票以上得票数が増えている(もちろん、候補者数の多寡は得票数に関係しているので、厳密に言えば単純比較は難しいともいえるが)。

 名実ともに自民党が勝利した今回の参院選、これに抗するはずの立憲民主党はといえば、現職が何人も落選する惨敗であった。得票数については、前回の参院選の時の立憲民主党と、今回の参院選の立憲民主党は形式的には別ものであるが実質的には同じなので、得票数を比較してみると、比例区では110万票以上減らしている。端的に言って大敗である。比例区の結果からすれば、立憲民主党という政党に対する支持も期待も、急落したと言ってしまっていいだろう。

 一方で選挙区ではどうかと言えば、前回の参院選に比べて20万票近く増えている。これも候補者数との関係性もあるが、当落を無視して少なくとも候補者個人ベースで考えれば、まだまだ立憲民主党に対する期待や支持は根強くあり、候補者選定や候補者の立て方次第では、これを伸ばすことが可能であるといえよう。

 ただ、比例票は大幅に減ったのであるし、躍進したといえるほど議席数を増やすことができなかったどころか、改選議席の維持すらできなかった。このため、立憲民主党は今回の選挙では存在感を示すことができなかったと言っていいだろう。

 しかし、その「存在感を示すことができなかった」というのは今回の選挙に始まった話ではないだろう。提案型野党を標榜して登場した泉健太代表体制は、国会での論戦において、批判や追及を極力減らして提案型の質問を行うことを打ち出していった。

 これまでの国会であれば、与党の不祥事やスキャンダル追及で予算委員会が空転するといったことが、恒例行事のように見られ、その姿が連日のように大手メディアで取り上げられた。そのことに味をしめた野党議員たちは、スキャンダル追及に血道を上げるようになり、国会の質疑の空洞化が懸念されるようになった。