国内販売トップに章男社長の腹心が復活
改革の総仕上げへ

 友山新国内販売事業本部長は、2018年に副社長に就任し、TPS本部長やコネクティッドカンパニーチェアマンなどを務めた後、20年に執行役員から21年にエグゼクティブフェローとなっていた。それだけに、今回の国内営業トップへの異例の“復帰”は内外で驚きの声が上がっている。

 だが、友山氏は豊田章男社長の“盟友”であり、かつて国内販社へのTPS活動の導入やGAZOOの立ち上げをともに行った腹心だ。トヨタ国内改革への仕上げに向けて、友山氏が得意とするIT活用を推進する役割を章男社長自ら任じたとみられる。

 この国内販売事業トップの交代とともに、トヨタは新型クラウン投入を機に新たな販売施策を導入する。これはいわゆる「ディーラーマージン」(販売会社の利幅)にメリハリをつけるものだ。モデル末期の車種マージンを厚くしたり、需給が逼迫(ひっぱく)する人気車種はマージンを少なくしたりして納期の平準化を図るなど、一定のマージン制からフレキシブルなマージン体系の導入を進めることが狙いだ。

 トヨタは、20年5月から「トヨタ店」「トヨペット店」「カローラ店」「ネッツ店」のトヨタブランドを全車種併売に切り替え、実質4チャネル体制を廃止する国内販売改革に踏み切った。かつての国内市場成長期では複数チャネルによる販売拡大策が有効だったが、市場の成熟化に伴い車種の拡大などデメリットが顕在化してきたためだ。

 すでにトヨタ以外の各メーカーは国内は1チャネルに切り替えており、トヨタもトヨタブランドとレクサスブランドに販売チャネルを統合して販売効率化を進めてきている。