そこで、電話でなければ手続きできないのかもしれないと思い、今度は電話番号を探してみました。ところが、それも見つからないのです。最後は諦めて自宅に戻る日を決め、その日に自宅で受け取る指定をすることになりました。

 電話番号をサイトなどに記載しないのは、企業の「できるだけ直接電話を受けたくない」「できれば受電をゼロにしたい」という意図があるからでしょう。百歩譲ってそれはよしとしても、それならウェブからもすべてのサポートメニューにアクセスできるようにしてほしいと思うのです。

 もちろんシステムの障害など、さまざまな例外的ケースに対応するため、最後には人がサポートする部分を多くの企業が残していることでしょう。だとすれば、メニュー外のケースでは、スムーズに人力サポートの窓口にたどり着けるようにしておかなければいけないはずです。電力会社や宅配業者のウェブサービスのような例では、それができていない点に課題を強く感じました。

顧客体験を悪くする
自動音声応答システムの5つの課題

 米国でコミュニケーションクラウドサービスを提供するVONAGEが、「The Horrors of IVR: Five Key Issues(IVRの恐怖:5つの課題)」と題してまとめた記事によれば、IVRの課題は下記の5つに集約されるといいます。

無関係な選択肢を聞かされる
手続きしたい内容がメニューにない
メニューが長すぎる
時間が無駄になる
生身の人間につながらない

「無関係の選択肢を聞かされる」というのは、まさに私が電力会社のサポートセンターへ電話したときに起きたことです。自分がやりたい手続きにたどり着くまでに、延々と同じ音声を聞かされ、聞き逃したと思ったらもう一度、全体を聞き直さなければなりません。「メニューが長すぎる」というのも当てはまります。