高度経済成長期の企業社会においては、体力があって、礼儀正しく、強く・長く業務を実行できる人材は確かに必要でした。しかし今は、様々な状況においてどう対応するか、過去の事例ではどうすることもできない課題と向き合う必要もあるのです。そんな時代において、「監督の指示通り、バント決めてきました」と得意げになっているのは、違うと思うんですよね。

これからの高校野球には、指示を無視して成果を出す選手こそが必要な理由

 いつまでもこうやっていると、野球の魅力が廃れていくと思いますし、野球人口が減っているのは、親御さんにそういった現状が伝わっているからだと思います。サッカーやバスケットなどは自分たちで判断するシーンが多い。時には監督の指示を無視して、自分の判断で勝負することもある。こういった能動的な人材が求められているんです。

 ですので、野球人口を増やそうと、試合の放送を増やしたり、野球体験の機会を増やしたりしていますが、まずは監督主導になりやすく、指示待ち型の選手が育ちやすい構造を転換していくべきと考えています。

「指示待ち」の選手から
野球を取ったら何が残る?

これからの高校野球には、指示を無視して成果を出す選手こそが必要な理由

 慶応義塾高校野球部では、できる限り選手自身が自分で考えて行動できるようサポートしています。それは、卒業して野球との接点がなくなったときに、野球を通して何が身についたのかを実感してほしいからです。在学中に気づく必要はないんですが、野球だけの人間にはなってほしくない。