例えば、社員が在席なのか会議中なのかといった離席状況が分かるサービスがある。これは、オンラインでアクセスすると、パソコンに装備されたカメラが自動的に社員の写真を撮影し、それを社員が社内へ自ら共有する仕組みだ。

 また、目的に応じてWEB会議を立ち上げ、そこに入室して作業ができるものなど、多彩なサービスが登場している。

 今回は「oVice(オヴィス)」というサービスに注目したい。

 コロナ禍の20年8月にサービスを開始して以来、急速にユーザーを増やしている。リコーや中外製薬といった大手企業を含む2000社以上が導入するサービスだ(2022年5月時点)。

 バーチャルオフィスで本当に社員の「居心地」は良くなるのか、このサービスを運営するoVice・広報責任者の市川伸さんに取材した。

テレワーク最大の課題は
話しかけるまでの「手間」

「実はoViceは、テレワークの課題を解決するために開発されました。『コロナ禍になり、以前より社内のコミュニケーションが取りにくくなった』、こんな声を多く聞きます。出社時は立ち話で済んだ相談や打ち合わせも、その都度にオンラインにアクセスしなくてはならない。その手間が本来の業務を圧迫し、結果的に社員の労働時間が増えてしまうケースが目立つようになったのです」(市川さん)

 もっと手軽にコミュニケーションができないか。社員の負担を減らせないか。こういった課題を解決するために開発したというわけだ。

出社はやはり不要?テレワーク進化版「バーチャルオフィス」導入企業を直撃oViceは、2000社以上の企業が導入する日本最大規模のバーチャルオフィス。参加者はアバターとしてオンライン上でさまざまな活動ができる

「バーチャルオフィスで働く」と聞いてもイメージが湧かない人もいるかもしれない。

 下図のように、ブラウザ上で自身のアバターを設定する。それが自由に動いて話しかけたり、数人で打ち合わせをしたりと、リアル空間と同じ感覚で過ごすことが可能だ。近くにいるアバターの声は大きく聞こえ、遠い場合は小さく聞こえるため、立ち話など偶然耳にした会話にも簡単に参加できるようになっている。

「できるだけ現実に近い空間を再現しています。必要に応じて画面共有やビデオ通話ができますし、施錠できる会議室があるため機密情報を扱う場合は、特定のメンバーだけで話すことも可能です」(市川さん)