祖先の霊を祀る、夏の行事「お盆」。この時期は家族が勢ぞろいするタイミングでもありますね。久しぶりに顔を合わせるこの時期は贈与や遺産関連の話などといった少し込み入った話も出やすいものです。仲良く話せていればいいのですが、うまくいかないことも多いのが現実です。そこで今回は税理士法人レガシィの新刊『「生前贈与」のやってはいけない』(青春出版社)から、きょうだい間でもめないためのコミュニケーションの心がけについて抜粋紹介します。
贈与がきょうだい間の火種になる!?
「暦年贈与」などの生前贈与は節税対策の大きな味方となるのですが、実は贈与という制度は、きょうだいの間でもめる原因になりがちです。誰がもらって誰がもらっていないか、きょうだいの間で知れば複雑ですし、知らなくてもまた気になるものです。
そもそも贈与というのは、みんなを集めていっせいに渡すなどということは、まずありません。親はどの子にどれだけお金をあげようか、タイミングを見計らって渡すのです。贈与する相手とタイミングは、大きく2つに分かれます。
1つは、困っている子にたくさんあげるケースです。以前、興味深い話を聞いたのですが、子どもが5人いたら、1人くらい裕福でない子がいたほうがうれしいという人がいました。理由を尋ねると、「金持ちの子にはお金をあげてもさほど喜ばれないけれど、裕福でない子はとても喜ぶじゃないですか」というのです。ちょっと変わった考え方ですが、納得できないこともありません。そんな親心もあるのでしょう。