西武ホールディングスがプリンスホテルなど国内31施設を外資系ファンドに売却した。これが「破格の安値」だった。ダイヤモンド編集部による特集『ホテルの新・覇者』では、安値の理由に迫った。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
買い手候補が約10社いても
価格はつり上がらなかった
西武ホールディングスがプリンスホテルなど国内31施設を外資系ファンドに売却した。しかも「破格の安値」で。売却の交渉の声が掛かっていた買い手候補は約10社いたが、ある事情から価格がつり上がることは最後までなかった。
一方、星野リゾートは2022年の1年間で国内10軒超を開業。星野佳路・星野リゾート代表自らがインタビューで具体的な候補地を3カ所挙げ、北米進出を準備中であると明かした。さらに、三井不動産、三菱地所、森トラストなどの不動産会社は最高級ホテルをどんどん増やしている。ただし、看板は外資系ブランドばかり。
これらは混沌とした動きのようでいて、実は全てつながっている。ホテルの「オーナー」と「運営する者」における主役交代。それがさまざまなかたちで表面化したものなのだ。
ブラックストーン・グループやKKRなどの外資系ファンドがホテル市場の新顔として現れ、マリオットなどの外資系ホテルの看板が大都市から地方に至るまで急増していく。国内プレーヤーのある者は彼らと手を組み、ある者は対抗し、覇者となっていく。こうした実態を知れば、プリンスホテルなど31施設が「破格の安値」になった理由が腹に落ちるはずだ。
ダイヤモンド編集部による特集『ホテルの新・覇者』では、今、ホテル業界で起こっている全てを明らかにした。