明日から使えそう!

――特に反響が大きかったコーナーはどのあたりですか?

石塚 「メンタル」に関する章(第6章)が特に人気です。ビジネス書には「おれはこうやって成功したから、お前も同じようにやれ」的なマッチョな姿勢のものもありますが、そうではなくて、やさしく読者に寄り添う項目が多いのが、この本の特徴かなと思います。

 たとえば『「メンタル」第一、「仕事」は第二』『給料分働けば十分「プロ」』など、変に上昇志向をあおったりせず地に足のついた、それでいて合理的かつ周囲に嫌われないという、非常に現実的なアドバイスが多くの方に共感をいただけているような気がします。

 ただこの本は「がんばらなくていい」という本ではなく、自分のメンタルを守りながら結果を出し、やりたいことをやる、逆に言えば、やりたくないことをやらないにはどうすればいいか、についても書かれています。こうした部分も読者のみなさんの参考になっていることを強く感じます。

――そういう考え方や立ち回り方というのは、歳を経てだんだん身につくところもあるけれど、早い時期にアドバイスをもらえていたらよかった!と思える点ですよね。身近に尊敬できる先輩や上司がいないとき、その代わりになってくれる本と言えるかも。この本は、読者の年代もかなり広がりがあると聞きました。

石塚 そうなんです。当初は若い層に人気の本になるのかなと思っていましたが、著者と同世代やアラフィフの方々にも人気があり、こうした方々には「マネジメント」についてまとめた第4章が響いているように感じます。チームに問題児がいたらどうするか、チームが空回りしたらどうするか、トラブルの際の犯人探しをどう考えるか、KPIはどう設定するかなど、かなり具体的な問題と対処法を提示しているので、すぐに役立つ点が人気の理由かもしれません。

 佐久間さんはとても頭がいい方で、ほんとうに役立つ内容満載でお書きいただきましたので、同年代の読者の方からも「もっと早く知りたかった!」「明日から使えそう」「これを息子に教えてやろう」などのご感想を非常に多く頂戴しました。

仕事は理不尽なこともあるが感動もある

――今から読んでみようかなと思っている読者の方に、特におすすめのページはありますか。

石塚 じつは私がいちばん心を打たれたのは「はじめに」です。

 このお原稿をいただいたのは、ニッポン放送からの帰り道、有楽町の「はまの屋パーラー」でレコードのキャンディーズを聴きながらサンドウィッチを食べていたときのことでした。このはまの屋パーラーさんは超おすすめなんですけど、それは置いておいて……。

 それが締切間際でギリギリのタイミングだったこともあり、とにかく原稿をいただけたことに安心して、「ふぅ、よかった間に合った……」と携帯でなにげなく内容を確認したんです。そうしたら素晴らしい内容に涙が止まらず「これは絶対に多くの方に届く本になる」と確信しました(注:このはじめには、ここでお読みいただけます)。

 仕事ってつらいこともたくさんあるし、つまらなかったり、理不尽だったり、「こんなの自分じゃなくてもできる仕事だ」と思うこともたくさんあります。でもその一方で、「こんな奇跡がおこるのか!」という驚きや感動があるのもたしかです。これについても、この本の最後の項目で、佐久間さんがご自身の経験を教えてくださっています。

 なのでまずはぜひ、「はじめに」と「最後の項目」だけでも見てみていただけたら嬉しいです。この本がどんな本か、きっとおわかりいただけると思います。

【ずるい仕事術】サラリーマンがやりたくないことをやらずに成果を出す方法