ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
南スーダンってどんな国?
南スーダンは、東アフリカに位置する内陸国で、スーダン、エチオピア、ケニア、ウガンダ、コンゴ民主共和国、中央アフリカと国境を接します。
2011年にスーダンから分離独立した世界で最も新しい国です(2022年9月時点)。
スーダンは、イギリスとエジプトによる共同統治下に置かれてきました。1956年にスーダンは独立しましたが、当時から分離独立の要求は強く、内戦状況にありました。
もともと、スーダンはアラブ系住民が多い北部と、キリスト教や伝統宗教を信仰する人が多いアフリカ系住民の多い南部とでは大きな違いがあったのです。(関連記事:「スーダンってどんな国」2分で学ぶ国際社会)
世界最悪の人道危機
独立後も、スーダンとの間で紛争は続きました。その要因の一つが「石油」でした。産業が未発達な国にとって「石油」の利権料は大きかったのです。
また、アフリカ系の住民が多いとは言っても多くの部族に分かれており、部族間の対立も顕著です。
その結果、内戦状態になり、多くの難民を発生させ、現在でも世界最悪ともいわれる人道危機が続いています。周辺諸国などの仲介により、平和と安定への道が模索されています。
日本は、地域の安定と発展のための基盤整備を任務とする国連南スーダン共和国ミッションに自衛隊部隊を派遣し、活動を行ってきました。部隊は撤収していますが、現在でも司令部要員を派遣しています。
南スーダン共和国
面積:64.4万㎢ 首都:ジュバ
人口:1098.4万 通貨:南スーダン・ポンド
言語:英語(公用語)、アラビア語
宗教:キリスト教、イスラーム、精霊信仰
隣接:スーダン、エチオピア、ケニア、ウガンダ、コンゴ民主共和国、中央アフリカ
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)