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副収入300万円以下がポイント。<br />就業規則を気にするサラリーマンのための「副業」の始め方Photo: Adobe Stock

副業も節税も、メルクマールは300万円

 国税庁による副業関連の所得税基本通達の改正が明らかになり、ネットが騒然としています。特に危機感を募らせているのは、税金の還付を狙って副業をしてきた会社員です。

 その一方で、副収入が300万円以下なら副業にならないことが明確になり、副業禁止の会社員には朗報となりました。その意味で今回の改正は、正直なサラリーマンに優しい改正といえるでしょう。

 改正内容を要約すると「300万円以下の副収入は事業所得ではなく雑所得として扱う」というもの(https://wp.me/a6gSf3-1Wl)。不動産所得では「5棟10室基準」が事業的規模か否かの判断基準でしたが、事業所得には明確な基準がありませんでした。しかしこれからは、「300万円」が事業所得における事業的規模のメルクマールになると思います。事業的規模とは、「生計を立てられる規模」だとご理解ください。

所得税の還付で儲けていた人には凶報

 なぜ、節税目的で副業をしている会社員にとって、この改正は凶報なのか。

 ケースで示しましょう。只野範男(仮名)さんは会社員時代に、イラストを書いて毎年50~100万円を売り上げていましたが、経費が莫大だったので、毎年赤字でした。その赤字を、サラリーマンとしての給与所得と相殺してきたので、37年間、ずっと無税だったそうです。でも、今回の改正により、このような節税はできなくなりました。

 年間50~100万円の収入は、「生計を立てられる規模」ではありません。したがって、これを事業所得と称して赤字申告する行為は、節税というよりも脱税に近いグレーな行為です。

 ところが、基準が曖昧だったので、グレーな節税をする人は増える一方。そこで、抜け道を塞ぐために、300万円という基準を明示したわけです。

副業をためらっていたサラリーマンには吉報

 これとは反対に、副業をためらっていた会社員には吉報です。なぜなら、300万円以下の副収入は事業的規模でない旨、示唆されたからです。事業的規模でなければ、法的に「業」とはいえないので、「副業」にも当たりません。強いて言うなら「副業ごっこ」でしかありません。「副業」でないのですから、会社に迷惑をかけない限り、副業禁止の就業規則にも違反しません。

 こうして、副収入が300万円以下である間は、就業規則違反を気にせずに、安心して稼げるようになりました。

会社による副業禁止は憲法違反の違法行為

 では、300万円を超えて事業的規模になると、「副業」とみなされて就業規則違反になるのでしょうか。

 表面的には就業規則違反に見えますが、心配はいりません。なぜなら、会社が従業員の副業を禁止すること自体が、違法だからです。

 憲法や自然法により、自由権という基本的人権が保証されています。会社に迷惑さえかけなければ、プライベートの時間で何をしようと、それは個人の自由なのです。したがって、法律で禁じられている公務員は別として、会社が従業員の副業を禁止することは、そもそも自由権の侵害であり、違法行為なのです。

 だから、会社に迷惑をかけずに副業した従業員を懲戒処分にした会社は、ことごとく裁判で敗訴しています。それどころか政府は、働き方改革にて副業を奨励しています。だから、厚生労働省のモデル就業規則にも副業解禁条項が盛り込まれています(第68条)。神戸市や生駒市のような地方自治体までもが副業解禁に動き始めました。

 もちろん会社の立場からすれば、従業員の労働力を独り占めして、少しでも多く搾り取りたいはずです。終身雇用を維持して従業員を大切にする会社であれば、許されるのかもしれません。

 でも、そもそも、日本で副業禁止が一般化したのは戦後で、終身雇用とワンセットでした。その終身雇用が崩壊したのですから、副業禁止を正当化するバックボーンがすでにありません。

 その一方で、会社に迷惑をかける行為は、「副業ごっこ」であったとしても、絶対に許されません。具体的には、厚生労働省のモデル就業規則が例示する次の4つのケースです。

1.労務提供上の支障がある場合
2.企業秘密が漏洩する場合
3.会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
4.競業により、企業の利益を害する場合

副業禁止を言い訳にするのはやめましょう

 このように、会社は副業を禁止することができません。しかも、300万円以下であれば副業にさえあたりません。したがって、「会社から副業を禁止されている」ことは、言い訳になりません。

 それどころか、政府も裁判所も厚生労働省も国税庁も、副業を擁護しているのですから、副業しないほうがもったいない。すべての社会人が副業すれば、私の試算で日本のGDPが2割も増えて社会貢献になるので、一石二鳥です。

 ただし、「バイト型の副業」は搾取されるうえにバレやすいのでやめておきましょう。やるべき副業は「自営型の副業」です。具体的には「稼ぎ口二刀流」にて、「稼げるライフワーク」に取り組んでください。

*本記事は、『40代からは「稼ぎ口」を2つにしなさい 年収アップと自由が手に入る働き方』著者による書き下ろしです。