2015年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの神様』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。
そこから先は、神の領域
私は、ノートに書き写すことは滅多にありませんが、三浦綾子さんのエッセー『生きること思うこと』(主婦の友社)を読んで、「これはいい言葉だ」とヒントを得て、自分のノートに書き写した言葉があります。
その言葉とは……。
「そこから先は、神の領域」
(※三浦綾子さんが実際に書かれた言葉は「いまより後のことは神の領分だ」)
私は、この言葉を、いつも思い出すように生きています。
年間300回ほど講演会をやっているので、よく「疲れないのですか」と聞かれます。それに対し私は、「このまま疲れ果てて死んでいきます」と答えています。
「じゃあ、講演を断って半分ぐらいにして、長生きすればいいじゃないですか」と言う人もいるのですが、私の場合は、「そこから先は神の領域」。
もし、ガンになった人が、「ガンと闘うぞ」と決めたとすると、神の領域に踏み込んで闘おうとするから、つらい。
仮にガンになって、「3ヵ月、4ヵ月で死ぬ」と言われたら、「そこから先は神の領域と、腹をくくる」という考え方もある。
すべてのことについて、「そこから先は神の領域」と考えると、ずいぶんラクになります。
「手の届く範囲の身のまわりをキレイにする」「謙虚に物事を考える」「誠実に生きる」ということは、自分ですることができる。
しかし、「そこから、何が生まれるのか」「そこから先、自分の人生はどうなるのか」ということについては、「そこから先は神の領域」で、「人間がコントロールできる領域」を超えたところ…なのかもしれません。
ありとあらゆることに、「どういう意味があるのでしょうか?」「何か私に教えようとしているのでしょうか?」と、私に問いかけてくる人がいます。
「交通事故で追突された。どういう意味があるのでしょうか?」
「病気で1週間仕事を休んだ。どういう意味があるのでしょうか?」
「友人にお金を貸したけれど返ってこない。どういう意味があるのでしょうか?」
それは、質問という形をとって、「自分が気に入らないこと」を言っているだけです。
「これが気に入らない」「あれが気に入らない」「これが思うようになってない」と愚痴や泣き言を言っているにすぎません。
質問の形をとってはいても、「どういう意味があるのか」と言うこと自体、現象を否定しています。
だから、私はその人に、「そんなことにいちいち関心を持たなくていいと思います。ただ、淡々とやって生きていけばいい」と、言い続けています。
「その意味が、その意味が」と言っている人は、結局、受け入れていないだけです。「気に入らない、気に入らない」と言っていることにほかなりません。
三浦綾子さんは、結核、ガン、パーキンソン病にもなりました。それでも「これはどういう意味があるの」と、いちいち問いかけませんでした。
「そこから先は神の領域」という思想があったから、心穏やかに生きていくことができたのだと思います。