劣等感は治療したほうがいい?

ところで、劣等感は治療すべきものなのでしょうか?
目標達成のためのパワーとして活かせるような多少の劣等感は、本格的な治療の対象にはなりません。

しかし、社会にうまく適応できず、失敗を繰り返してしまうほどであれば、専門家に相談したほうがいいでしょう。

劣等感のせいで人とかかわるのを避けたり、攻撃的な行動を取ったりすることもあります。
それほど悩まされているのに治療を受けずにいれば、生きづらくなっていくばかりです。

治療を行うときのポイントは、抑圧されていた劣等感を意識の世界へ呼び起こして向き合うことです。「自分を知り、自分を受け入れて、真の自分になること」に焦点を合わせます。

具体的には、劣等感の原因を分析すること、これまで使ってきた防衛機制をアップグレードする作業、繰り返されてきた対人関係パターンの修正が必要です。

自分の限界を探る一方で、これまで目を向けることのなかった長所を自覚して伸ばすことによって、劣等感の根源である短所をあたたかく包み込んでいきましょう。

(本稿は、チョン・ドオン著 藤田麗子訳『こころの葛藤はすべて自分の味方だ。 「本当の自分」を見つけて癒すフロイトの教え』から一部抜粋・再構成したものです)

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