実は傷つきやすい人には、パッと見て、「この人、タチが悪そうだな」と、直観的に相手を見抜く力があります。ところが、その一方で、「でも、郷に入っては郷に従えというし、この職場のやり方に従おう」などと考えて自分の直観を抑え込み、社会通念や教えに従うことで自分の立場や居場所を守ろうとします。そして、「この人(この職場)にも、良いところがあるはず」などと自分に言い聞かせながら、あえて不愉快な環境や相手に合わせるようになっていくのです。

 すると当然、相手はどんどんつけ上がり、何を言っても反撃してこない人、何でも言うことを聞く人として、傷つきやいす人に対して高圧的になっていきます。

 こうした状況が続くと、内心ではとても辛いので、傷つきやすい人は心身に不調をきたし始めますが、それでもなお自分を抑え続けて、「自分の努力が足りないから、こんな状況になっているのだ」と自分を低く、下に置いて考えてしまいます。

 このように「私に非がある」と結論づけているため、辛くても人に相談しません。たとえ周囲から「大丈夫? 休んだら?」と言われても、今度は「いや、休むと迷惑がかかるし……」と考え始め、無理をしている自覚もないまま頑張り続けます。そして倒れる寸前に休職、あるいは倒れて退職……というケースが多いのです。

 実際、私のクライアントさんには、そうなって初めて相談にいらっしゃる方が少なくありません。

いつも優しくなくていい

「他人に優しくしなければならない」の呪縛を解くには、自分がガマンしてまで人に優しくしなくてもいいと気づくことです。いつも、いつも人に優しくしなければ……という思い込みは外しましょう。「つねに優しくなくてもいい」のです。

 この時、重要なサインは体の不調。傷つきやすい人は、自分がガマンしているという自覚がないまま頑張ってしまいがちなので、体の不調を感じたら、それは自分がガマンし過ぎている証拠と考え、もうガマンはやめましょう。

「この人、タチが悪いな」と感じたら、そんな相手にまで優しくなくていいのです。

「つねに優しくなくても、いい」のです。

生きづらい 人間関係 繊細さん HSP HSS 心理 アダルトチルドレン 発達障害
イラスト:村山宇希