いまだコロナ禍は終息していないものの、止まっていた社会全体が少し動き始めています。久しぶりに行動制限なしの夏を経て、今後ますます人との交流が増える兆しがあるからです。これを喜ばしく思って歓迎する人がいる半面、「今まで人と会わずにいられたのに……」と感じ始めた人も少なくないはずです。
「なので、これからご相談に来られる方が増えるだろうな、と思っています」と話してくれたのは、『とても傷つきやすい人が無神経な人に悩まされずに生きる方法』の著者、みさきじゅりさんです。みさきさんは、ご自身も傷つきやすさに長く悩んできたHSS型HSPで、HSP研究の第一人者、E・アーロン博士の専門家認定プログラムを日本で初めて修了したキャリアコンサルタントです。
今回は、不安を感じたり、心が傷ついてしまったと感じた時に、自分でできる簡単な対処法をご紹介します。
頭の片隅に置いておいていただけると、きっと役に立つ場面があるかもしれません。
HSP研究の第一人者エレイン・アーロン博士の専門家認定プログラム、日本人初の修了者。HSP専門のカウンセラーであり、キャリアコンサルタント(厚生労働省認定国家資格)
自身もナイーブな感受性と好奇心の旺盛さを併せ持つ「刺激追求型」のHSP(HSS)。
青山学院大学国際政治経済学部卒業後、東芝に入社。その後、ノキア・ジャパン、シリコンバレーのスタートアップ、アジア系IT企業などで、法人営業、外国人エンジニアの人材育成、大学生就活支援を経験。2017年、キャリアコンサルタントの国家資格取得。2018年、アーロン博士の「専門家認定プログラム」を修了。アーロン博士のサイトにてHSPに精通しているキャリアコーチとして正式に登録されている。クライアントは日本国内にとどまらず、ヨーロッパ、アジアなどからも訪れる。2018年9月、アーロン博士の講演を含むHSP Gathering Retreatsに唯一の日本人として参加するなど、国内外におけるHSPの最新動向に詳しい。著書に『ささいなことに動揺してしまう 敏感すぎる人の「仕事の不安」がなくなる本』(秀和システム)、監修に『繊細すぎて生きづらい~私はHSP漫画家』(おかだちえ 著 ぶんか社)、『「敏感すぎて疲れやすい人」がおだやかに暮らしていくための本』(中島智子 著 秀和システム)などがある。<撮影:松島和彦>
漠然とした不安に心を悩ませる人たち
傷つきやすい人にとっては、人と会う機会が増えることをストレスに思う人も多いですし、また、もう1つ、私が主に仕事に関連するご相談を多く受けているからなのですが、経済が回復しない中での不安を口にする人もいます。たとえ失業したわけではなくても、今のままではお給料も増えないし、先々に希望が持てない……という漠然とした将来に対する不安を感じているようです。
傷つきやすい人は、常にさまざまな情報を繊細なアンテナで取り込んでいるので、悩みが深くなっていきます。かといって、転職とか副業とかいう新たなチャレンジに踏み出すのは怖いのです。仕事を探すためには人と関わることが増えますから、そこで傷つくことへの恐れもあって、不安が増幅しているのかもしれません。
また、その不安を、著名人の死や、ウクライナでの悲惨な状況を伝えるネガティブなニュースが増幅させてしまうのです。そういった絶えず流れてくるネガティブなニュースに、私自身もけっこうまいってしまいました。
ネガティブな衝撃を受けた時の傷つきやすい人の心の傷つき方、落ち込み方というのは、ものすごく深いものとなります。そして、尋常ではなく引きずっていることを周囲に理解されにくい点も、傷つきやすい人の辛さをさらに大きくします。「え? そこまで落ち込む!?」と言われるのが怖くて、ますます自分の殻に閉じこもってしまうのです。
今、不安を感じたり傷ついたりしている人は、次のようなことを心がけるといいと思います。
【1】ネガティブな情報が一方的に飛び込んでくる恐れのあるテレビやスマホのニュースは見ない
テレビやスマホを見る回数を減らしたり、時間を制限したりするといいでしょう。
【2】自分の居場所といえる小さいコミュニティに参加する
例えば私が主宰しているHSPコミュニティなどのように、小さなコミュニティがどんどんと育ってきています。そのコミュニティの中には、安心して自分の辛さや不安を話せるという「居場所」があるんです。
そこでなら、お互いに気持ちを分かち合えるし、支え合える。そこからクリエイティブなパワーが生まれているのも実感しています。ですから、こんな不安の多い時には、自分が元気になれて安心できる居場所を見つけておくのもいいと思います。