3年~5年毎の大腸内視鏡検査が望ましい
便に潜血があるのは、大腸にできたポリープが排便時にこすれて出血するからで、凹んでいる場合には出血せず、陰性と判定されてしまいます。便潜血検査で陥凹型の大腸がんが見つかるのは、すでに進行したがんなのです。
便潜血検査は低コストかつ身体的な負担も少ないので50歳以上の人には受診が推奨されていますが、進行した大腸がんであっても、陽性率は80%ほど。実に20%は見逃されてしまっているのが現状です。したがって、便潜血検査で陰性と判定されても、3~5年おきに大腸内視鏡検査を受けることが望ましいと考えられます。
しかしながら、大腸内視鏡検査には、熟練した眼と技が必要であるにもかかわらず、そうした医師の人数が、圧倒的に不足しているのが実状です。
一方で、より精度の高い内視鏡が開発されていて、消化器の内視鏡による診断学が飛躍的に向上しました。また、前述の工藤先生は、血管や細胞の内部まで詳細に観察しながら、AI(人工知能)で悪性腫瘍の可能性をはじき出す、大腸内視鏡画像診断支援ソフトウエア「エンドブレイン(EndoBRAIN)」の開発も進めています。
超拡大内視鏡とエンドブレインを組み合わせることで、約95%の確率でがんの発見が可能となり、国からも医療機器として承認されています。まだまだデータの蓄積が必要な状況ですが、とても期待されているのです。
日帰りの治療で、がんの検査・早期発見・予防・治療が一度に済ませられる日が、もうすぐ目の前に来ているのです。