首都圏「中高一貫校」7月模試に見る“狙い目”の入試とは【2023年男子受験生編】緩和傾向とはいえ、高倍率が続く明治大学付属中野。第一志望者向けの優遇策も23年入試から導入予定

前回の女子受験生編に続き、今回は男子受験生編をお届けする。夏休み前の7月に行われた四模試(四谷大塚、日能研、首都圏模試、サピックス)の志望状況から、上位校の厳しい競争状況と中堅校への志望状況が見えてきた。2023年中学入試はどうなるのだろうか。(ダイヤモンド社教育情報)

1月の人気入試はどこか

 7月までの四模試参加者数の推移を見る限り、前年比で微減傾向となっている。今回は男子受験生について見ていきたい。模試で記入された志望者の数が少ないほど前年比の増減は大きく出るので、2022年入試での実受験者数も加味しながら、予想倍率についても触れていきたい。また、7月の時点では受験生の学力もまだ十分ではないので、この秋以降、志望先も大きく動くことがあることを念頭にご覧いただきたい。 

 女子受験生同様、前年比で10%以上志望者が減った入試の数は、増えた入試より5割多かった。まずは増えた80の入試を中心に見ていきたい。アナウンス効果もあって、女子同様、22年の人気校(入試)が多く顔を出している。一方、減った入試は実倍率3倍以上で高倍率を敬遠されたものが目立つ。緩和しても1倍台になりそうな入試がほとんどない点が女子との大きな違いだろうか。

 今回のデータでは直接うかがえないものの、男子受験生では難関・上位校を目指す塾への参加者が昨年に比べても活発な状況にあり、コロナ禍で全体的に学力不足の傾向が見られる中でも、シビアな戦いを予感させる。

 23年に初めての入試に臨む芝国際は、慶應義塾大学にも近い港区という立地も含め、人気校並みの志望者を模試で集めている点は女子受験生と変わりない。こうした情勢を受けて、今後募集人員が増えるかもしれないので、関心がある受験生は学校の公式サイトを定期的に参照していただきたい。

 まずは埼玉と千葉で行われる1月の入試で、大きく伸ばしそうな入試から見ていこう。志望者数が前年比で10~20%増という入試がほとんどを占めている。

 最も目立つのが、22年の受験者数1174人と群を抜いている10日午前の大宮開成(1回)だろう。志望者数が1割半増で、予想実倍率は2倍台半ばと、埼玉の入試にしては高倍率になる可能性が出ている。同じく10日午前の埼玉栄(1回進学)は、女子ほどの勢いはないものの、1倍台後半になるかもしれない。

 女子に比べると、埼玉で志望者が増えている入試の数はだいぶ少ない。男子校では、11日午前の城西川越(特選2回)が5割半増で2倍台半ば強に、12日午前の城北埼玉(3回)が3割半増えて1倍台半ばという予想倍率が目立つくらいで、あとは15日午前の開智(先端2回)が1割半増で2割台半ば強にという動きがある程度である。

 千葉で志望者を増やしている入試は、女子よりも多く見られる。20日午前の日出学園(I期)は4割弱増で3倍超え予想も。同校は、22年の受験者数こそ100人に満たないものの、23日午前のII期も4割増で、4.4倍だった実倍率が大きく上昇する可能性が出ており、女子よりも厳しい競争状況になりそうだ。

 22年の受験者数が100人を超えている入試を見ると、333人が受験した20日午後の昭和学院秀英(午後特別)は実倍率5.4倍が6倍に迫る勢いにある。21日午前の麗澤(1回)は242人が受験、実倍率3.7倍だったが、志望者数が2割増えており、4倍を超える勢いにある。

 同50人前後の光栄VERITASは、20日午後の理数特待と22日午前の特待が共に志望者数4割増で、22年の実倍率4.3倍と3.0倍からいずれも大きく上がりそうだ。他には、20日午前の八千代松陰(1回)が2倍に迫るかもしれない。20日午後の昭和学院(マイプレゼンイングリッシュ)の志望者が1割ほど増えており、これが実際の受験者増につながるかも注目される。

 2月の東京と神奈川については、以前、男子受験生の入試七つのパターンを取り上げた。それも参考にしながら、志望者動向をご覧いただければと思う。