SKYACTIV発表後は、その技術やエンジンが認められたうえで「なぜ、電気自動車ではなく、内燃機関なのか?」「世界中の主要メーカーが行なっている過給ダウンサイジングを、なぜ導入しなかったのか?」「他社に比べて圧倒的に少ないリソースで、なぜこんな開発が実現できたのか?」という質問をよく受けた。これらの質問に対する答えをまとめる必要もあると認識している。
本書の編集担当者からは、特にこの最後の質問の答えを求められた。
なぜ、開発できたのか。発想法というか、技術のとらえ方が他社とは異なっていたからだと思っている。私たちは、山ほどある内燃機関の効率改善の手段を俯瞰してみたときに、いろいろな名前をつけて各社がさまざまな技術に取り組んでいるように見えるが、結局は同じようなことをしているだけではないかと考えた。そこで効率改善するために、私たちが制御できる因子は何があるかを整理してみた。そして、その制御因子を理想に近づける順番と手段を定めたロードマップを作製した。理想像とロードマップがあれば少ない人員でも迷うことなく集中して進むことができる。ここに記した道筋は理想像に近づくためには避けては通れないものばかりであるから、大胆な発想でチャレンジすることもでき、他社よりも早く新しい発見もでき、いくつもの壁(=課題)を乗り越えることができたものと考えている。
タイトルの『答えは必ずある』という意味は、どんな難しい課題でも、こねくり回していけば自分の得意な領域に誘導でき、答えを導き出せるようになるのではないかという意味でもあるし、「できないと言ったら、誰かができた時に立場がなくなりますよ」という警告でもある。
筆者としては、何も偉そうなことを言える立場ではないが、エンジニアの方々はもちろん、広くビジネスパーソンの読者のみなさんにも、さまざまな課題を乗り越える際に参考になる何がしかのヒントが見つかるのではないかと期待している。
少しでも読者のみなさんのお役に立てるのであれば望外の喜びである。