町工場写真はイメージです Photo:PIXTA

ダイヤモンド・プレミアム(有料会員)ならダイヤモンド社のベストセラーが電子ブックでお読みになれます!月ごとに厳選して提供されるダイヤモンド社の話題の書籍から、ここでは一部を抜粋して無料記事としてお届けします。全体をお読みになりたい方はぜひダイヤモンド・プレミアム(有料会員)にご登録ください!今回は2022年10月提供開始の『社員15倍!見学者300倍!踊る町工場 伝統産業とひとをつなぐ「能作」の秘密』。不景気にあえぐ中小企業の、伝統産業の、下請け業者の、さらにはビジネスパーソンの方々のヒントが詰まった一冊です!

高給・大手新聞社カメラマンから
薄給・鋳物(いもの)職人へ

 株式会社能作(のうさく)は、1916(大正5)年に創業した鋳物(いもの)メーカーです。「鋳物」とは、金属の材料を熱して液状にした状態で型に流し込み、固まった後、型から取り出してできた金属製品のことです。

 富山県高岡市で400年の歴史を持つ鋳物技術を受け継ぎ、仏具、茶道具、花器(かき)、近年では、テーブルウェア、インテリア雑貨など、お客様の声に応えるものづくりに努めています。

 富山県には「旅の人」という方言があります。「県外出身で富山県に移住してきた人」のことで、僕も「旅の人」でした。

 僕は福井県出身です。大阪芸術大学で写真とデザインを学び、卒業後は大手新聞社の報道カメラマンとして3年間勤務。「能作」の一人娘との結婚と同時に「婿〈むこ〉(能作姓)」となり、1984年、27歳のときに義父が代表を務める鋳物メーカー「有限会社ノーサク」に入社しました(2002年、僕の社長就任時に「株式会社能作」へ改組)。

「能作家は代々女系家族で、義父も婿養子だった(ちなみに、僕の3人の子どもも女性)」
「伝統を絶やすわけにはいかない」
「もともと美術志向で、ものづくりに興味があった」
という理由で、職人の世界に飛び込んだのです。