米国の利上げやウクライナ情勢など今の相場見通しは不透明。今本当に投資を始めていいのか、迷っている人も多いだろう。ただ、つみたてNISAやiDeCoは月々や日々定額を積み立てていく積立投資がキホン。相場が不安定な今こそ積立投資を始めるべき3つの理由とは?

「つみたてNISA」や「iDeCo」を相場が不透明な今こそ始めるべき3つの理由まとまった額がなくても少額で始められるのが積立投資のメリット。相場に左右されずに始めるのが正解だ。 イラスト=山崎真理子

理由1:どんなショックの時も数年経てば相場は回復してきた

 現在、コロナは収束しつつあるものの、米国の金融引き締めやウクライナ問題の影響で、株式市場は乱高下が続いている。急激に進んだ円安も気がかりだ。足元でジワジワと実感しつつある物価高がどう経済に影響するのかなど、先行きも不透明だ。こんな状況で積立を始めてもいいのか、と不安を感じても当然だ。

 しかし、情勢が落ち着くのを待つ必要はない。

 なぜならば、“始め時を選ばない”というのが、積立投資の強みだからだ。

 図は、全世界株の直近20年の推移だ。株式市場は、5~10年に一度は“ショック”に見舞われてきた。しかし、数年経てば回復してきたのだ。

 “100年に一度”といわれた、あの2008年のリーマンショック時も6年半後には元の株価を取り戻している。

理由2:安い時に多く買えるのが積立投資のメリット

 積立投資はむしろ、価格の上下動が激しいほど有利だ。下落時にたくさん買える効果が大きくなるからだ。

 積立では、定期的に定額を自動的に買い付けることで、相場が安い時もたんたんと買い続けることになる。平均購入額を安くすることにつながり、このことが相場の回復時に有利に働く。相場の回復よりも資産の回復の方が早まるのだ。長期でみれば、世界の株価は右肩上がりだ。積立投資なら、一時の下落を恐れなくてもいい。

理由3:プロでも相場はは読めないもの! 待っていたらいつまでも始められない

 一方で、もしいまが上昇中の相場だとしても、下落を待つのは得策ではない。確かに下がった時に始めたほうが、その後の利益は大きくなる。ただ、株価がいつ、どこまで下がるかは、プロでも読めない。“下落したら始めよう”と考えると、いつまでたってもスタートできない結果になりがちだ。

 したがって、積立投資は、常に“いまが始め時”なのだ。

自分が続けられる投資額で始めてみるのがベスト

 積立の金額について悩む人は多いが、「自分が無理なく続けられる額」が正解だ。

 つみたてNISAは年間40万円の枠があるため、ひと月の上限額は3万3333円。ただ、上限額内であればいくらでも大丈夫。ネット証券などでは月100円から始められる。iDeCoは勤務先などで年間の掛金の上限は異なるが、月額5000円から拠出限度額までの範囲内で、加入者本人が自由に決めることができる。

 投資信託協会の調査によると、つみたてNISAで積立てたい額は平均で月1万8000円。月1万円未満という人も約3割いる(*21年11~12月の調査)。

 大事なのはできるだけ早く始めて長く続けることだ。少額で良いのでまずはスタートすること。値動きに慣れてきたり、生活費に余裕が出てきたら徐々に積立額を増やそう。家計の見直しなどで積立の資金を捻出する努力も重要だ。

「つみたてNISA」や「iDeCo」を相場が不透明な今こそ始めるべき3つの理由株式相場は数年に一度は“ショック”に見舞われてきた。近年は株式市場を襲うショックの感覚が短くなっているとの見方もある。ただ、2000年のITバブル崩壊の時は5年半、100年に1度と言われたリーマンショックの時も6年半で下落前の水準まで回復してきた。
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