写真:オンライン会議写真はイメージです Photo:PIXTA

コロナ禍で、オンラインでのコミュニケーションが一気に普及しました。多くの企業や学校で、オンラインによるリモート業務・授業が日常的になっています。しかし、オンラインでのコミュニケーションは、私たち人類にとって、大きな問題をはらんでいるのではないか? もしかしたら、今後、私たちの社会に大いなる悪影響を及ぼす可能性があるのではないか? こうした危機感を抱いた私は、それを証明するために実験を重ね、驚くべき結果を得ることができたのです。(医学博士 川島隆太)

※本記事は『オンライン脳 東北大学の緊急実験からわかった危険な大問題』から抜粋・再編集したものです。

新型コロナで急拡大せざるをえなかった「オンラインコミュニケーション」

 なぜ「オンライン脳」が生まれることになったのか。その前提から見ていくことにしましょう。

 2020年春に始まった新型コロナウイルスによる感染症パンデミック(世界流行)以来、“オンライン”によるコミュニケーションが、日本のみならず世界で急激に拡大しています。

 日本では、たとえば、

・勤め人が出社せず、在宅勤務をする「テレワーク」にともなう「オンラインミーティング」「オンライン打ち合わせ」
・参加者が出社も出張もせず、会議室を使わない「オンライン会議」
・取引先を訪問しないでおこなう「オンライン商談」
・みんな異なる場所で飲みながら会話を楽しむ「オンライン飲み会」
・学生や生徒が通学せず、在宅のまま受講する「オンライン授業」
・聴衆が自宅や会社にいて聞く「オンライン講演」「オンラインコンサート」
・家庭教師が家に来ない「オンライン家庭教師」
・病院に行かず、医師が聴診器を胸に当てることもない「オンライン診療」
・そもそも帰省せず、故郷の親や親戚知人と話すだけの「オンライン帰省」

 考えてみれば、ほとんどの人にはまったく経験がないことでした。これまでの私たちの生き方や暮らし方から考えても、ものすごくおかしなことですね。その異常なことを、新型コロナの感染を恐れる一心からみんなで始めて、はや丸2年。2年も続けていると、幼児でも誰でも、外出時はごく自然にマスクを着けます。面と向かって人と会ったり話したりする機会が激減しても、人びとはさほど異常なこととは感じなくなってきます。そんな奇妙な“非日常”が、当たり前の“新しい日常”と化し、受け入れられています。

 しかし、次のような人も多いのではないでしょうか。友だちや同僚とオンラインで毎日のように顔を合わせて会話するが、なんとも物足りず、歯がゆい思いをしている。飲み会がめっきり減ってしまい、遊びにも旅行にも行けないのは、全然おもしろくない。知人は結婚式を身内だけで済ませたというし、同窓会も2年連続で延期になってしまった。楽しみにしていたのに、寂しい。パッとしない日々が続き、生活に潤いがなくなってきた。わが子の運動会や修学旅行、文化祭が中止になって、かわいそうだ。やっと志望校に入学できたのに、キャンパスライフが楽しめない。教授や同級生に直接会えないのが残念。……こうした不満が募り、気分の晴れない人が少なからずいるでしょう。