忙しいビジネスマンでも通勤途中や隙間時間を活用し、効率的に勉強できるWEBサービスが、昨年あたりから徐々に増えている。

ShareWis」は、語学、会計、プログラミングなどが学習できる無料サイト。1コンテンツは短いもので5分、長くても30分で完結するので、短時間で効率的に学習できるのがポイントだ。

schoo」は、各ジャンルの専門講師による授業を生放送するサービス。マーケティング、マネジメント、スタートアップなどビジネス系のコンテンツが充実しており、24時間いつでも録画を見ることができる。授業を受けるだけでなく、参加者とチャットでコミュニケーションを楽しんだり、各自が書いたレポートを読んだりすることも可能だ。

 こういったネット学習サイトの中で、ひときわ成長を遂げているのが、ソーシャルラーニングの分野である。ユーザ同士が交流を図りながら学習を進めていくSNS「Studyplus」は、その成長株と言っていいだろう。昨年末にはユーザが5万人を突破し、好調な伸びを見せている。

勉強の記録を可視化し、仲間と共有できる「Studyplus」。楽しみながら勉強を継続できるソーシャルラーニングサービスだ

 このStudyplus、会員登録をすると、マイページに「教材をさがす」「勉強ログ」「コミュニティ」「目標と予定」といった項目が表示される。amazonとリンクし、教材を探すことができたり、学習目標を設定すると総勉強時間から換算して1日あたりの理想的な学習時間を提示してくれたりなど、細かな工夫が随所に見られる。

「勉強ログ」では、日・週・月単位での学習履歴がグラフ表示される。どのジャンルをどれぐらい勉強しているのか、時間配分もグラフ化され、足跡を逐一ビジュアルで確認できる。徹底した「行動の可視化」だ。どんな物事でもそうだが、自分の行動記録を一覧できると、一種、爽快な達成感を味わえる。可視化はモチベーションアップの有効な手段だ。

 昨年3月にリリースされたこのサービス、じつは当初、勉強が長続きしないユーザが続出した。そのときに上がったのが「他の人の様子を知りたい」という声だった。すぐにニーズに応え、ユーザが交流できるSNSに改良したところ、利用者が一気に4倍に増えたと運営する株式会社クラウドスタディの広瀬高志社長は語る。

 交流型にしたことで利用者のモチベーションが高まり、勉強を継続する力が上がったわけだ。SNS機能のひとつ、「コミュニティ」では、語学や資格試験などさまざまな学習ジャンルが一覧表示され、構成メンバーのタイムラインを見ることができる。

 また、同じ目標を持つ“同士”を探せるのも特長だ。例えば「TOEIC 800」で検索すると、TOEIC800点以上を目標に設定するユーザが表示される。友だちになれば、使用する教材や学習記録が自分のタイムラインに自動的に流れる。他のSNSと同様に、コメントや「いいね!」を残すこともできる。

 人は、少しでも自分を良く見せたい。そんな心理が働く生き物だ。誰かが自分の本棚や行動記録を見ることができるとなれば、それが良い意味での「監視効果」となり、意欲は高まっていく。コミュニティ内で励まし、アドバイスし合うことによる「相互激励効果」も勉強の継続には大きく奏功するだろう。彼が頑張っているのだから自分ももっと奮起せねば……、そういった思いが原動力となり、継続する力につながっていくはずだ。

フリーエージェント社会の到来』の著者であるジャーナリストのダニエル・ピンクは、「SNSの根本的なインパクトは、何より“学び”にある」と述べている。実際、欧米ではあらゆるWEBサービスの中で、2013年に最も伸びが期待されるのが「学習領域」と言われている。

 Studyplusを始め、今後の進化が楽しみな学習関連SNS。この春、新たに勉強を始めてみようという方、SNSで仲間を見つけて激励し合うのも目標達成への有効手段ではないだろうか。

(吉田由紀子/5時から作家塾(R)