仕組み債のイメージ写真Photo:PIXTA

筆者が四半世紀近く反対し、批判し続けてきた「仕組み債」の個人向け販売にトドメを刺す好機が訪れている。仕組み債がどれだけ「悪徳な金融商品」であるかをお伝えするとともに、銀行や証券会社などの金融機関に対して個人向け販売を即刻全面的に禁止させるべき理由を訴えたい。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

トラブルと販売停止が相次ぐ
「仕組み債」は悪徳商品

 個人顧客向けに仕組み債の販売を停止、制限、ないし見直しをするという金融機関が増えている。当然のことだろう。

 いちいち例を挙げないが、顧客からのトラブルの報告や苦情が多いし、はっきり言ってもともと極めて筋が悪い商品だ。

 金融機関側としても、いくらか「まずい」と思いつつ、本当にまずくなったら手を引こうと思いながら、いわば「半身の構え」で売っていた商品のはずだ。しかし、もうかるので、ここまでやってしまったというのが現実だろう。

 仕組み債を個人顧客向けに売ることが解禁されたのは、1998年の通称「日本版金融ビッグバン」における一連の規制緩和の一つとしてであった。当時、銀行窓口での投資信託の販売などと一緒に認められるようになったのだ。

 主に、欧州系を中心とする外資系証券会社の要望が強かったように記憶している。彼らは、法人向けの仕組み債販売が飽和してきた状況にあって、個人向けにも販路を求めた。

 これを認めたのは金融監督当局の大失敗だったと思う。率直に言う。失敗は即刻改めよ。