最初にするべきは、自分が何に不安を感じているのかを知ることです。
「もっともっと」と距離が近くなりすぎるのも、一方的に関係を断つのも、元をたどればすべて不安からきています。

 性格や考え方を直さなきゃと頑張りすぎてしまう人は多いのですが、そもそも「不安に感じやすくなった理由」を遡ると、幼少期の親子関係に行きつくことがほとんどです。

 どんな自分も受け入れてもらえる環境で育てば、不安が小さいまま大人になります。この場合は、とてもラッキーです。
 一方、親が不機嫌でいつもピリピリしている環境で育てば、不穏な空気が極端に苦手になります。相手に好かれるためというより、「嫌われないため」に動いてしまいがちです。
 親の愚痴ばかり聞かされて育つと、誰かがコソコソ話している時に「自分の悪口を言っているのでは……」と不安になることもあります。
 自分の気持ちを自由に話せない環境で育った人は、自分のことを話すのが苦手です。「苦手」「できない」というよりは、子どもの頃にやっていないので「慣れていない」といったほうがいいかもしれませんね。

 あなたが人に対して感じる「不安」を思い出してみてください。

 嫌われそう?
 受け入れてもらえない気がする?
 もっと自分を分かってもらいたい?
 相手の気持ちが信じられない?

 もしかするとそれらの「不安」は、子どもの頃に親に対して感じたことのあるものではないですか?

 親に愛されている、と自信を持って言えますか?
 親は、どんなあなたも受け入れてくれましたか?
 親は、あなたを理解してくれていると思いますか?

「親」に対して感じた不安を解消しないまま育つと、大人になった時に「他人」に対しても同じような不安を抱えるようになります。
 これが、人との距離感に悩んでしまう原因です。
 距離感に悩むのは、あなたに問題があるからではありませんよ。

 たとえるなら、家庭は「自動車教習所」のようなものです。社会(路上)に出る前に、家の中でルールを身につけ、人間関係におけるコミュニケーションを練習する必要があります。
 人との距離感が分からないのは、子どもの頃に習ってこなかったから。仮に習っていたとしても、親独自の「親ルール」を教えられれば人間関係はうまくいきません。

 何を教えてもらっていなくて、何が「不要な親ルール」なのか知るためにも、先ほどの「不安」に関する質問を試してみてくださいね。

「家庭環境のせいなので、あきらめましょう」と言いたいのではありません。
 教えてもらえなかったのなら、自分で身につければ大丈夫ですからね。