コロナ禍のリモートワークなど生活スタイルの変化により注目されたのが、資産形成に対する関心が高まったこと。特に、20~30代の若い人たちの間で、つみたてNISAの口座開設が急増した。そんな状況の中、つみたてNISA本の決定版ともいえる『最新版 つみたてNISAはこの9本から選びなさい』(中野晴啓著、ダイヤモンド社)が3月16日に発売。本連載では、つみたてNISAを利用して長期投資や資産形成をしてみたいという人に向けて、失敗しないつみたてNISAの賢い選び方・買い方について同書から抜粋して公開。「つみたてNISAってなに?」という投資ビギナーの人でも大丈夫。基本的なところからわかりやすくお伝えしますのでお付き合いください。【投資信託・つみたてNISAがよくわかるQ&A】の2回目をお送りします。

【投資信託・つみたてNISAがよくわかるQ&A】Q.お得な制度がいろいろあるようで、何を選べばいいのか分かりません…Photo: Adobe Stock

つみたてNISA、一般NISA、iDeCo(イデコ)
企業型確定拠出年金制度など、いろいろあるが…

【Q2】お得な制度がいろいろあるようで、何を選べばいいのか分かりません…

 長期の資産形成をサポートするための制度は、つみたてNISA以外に、その原型となった一般NISA、そしてiDeCo(イデコ)という愛称で知られる個人型確定拠出年金、さらに勤めている会社によっては、企業型確定拠出年金制度のある場合があります。

 何をどう使い分ければいいのか、という点については、特にそれらいずれの制度も活用できるという人にとっては、たしかに迷うところだと思います。

 優先順位としては、私は、つみたてNISAをおすすめします。

 というのも、iDeCoは手厚い税制メリットがある一方、制約もあるからです。

 たとえば、つみたてNISAなら積み立てている期間中でも、使いたいと思えば希望する金額で解約することができます。もちろん、解約した後で非課税枠を再利用することはできませんが、解約を固く禁じられているわけではありません。

 一方で、個人型確定拠出年金や、会社で加入する企業型確定拠出年金は、つみたてNISAと比較して、たしかに税制メリットは大きくなります。

 しかし、iDeCoをはじめとする確定拠出年金は、文字通り「年金制度」です。年金制度は、国民一人ひとりの老後の福利厚生を目的とした、非常に厳格な制度です。この制度に加入するということは、積立期間が終わるまで続けることが前提であって、途中で今まで積み立てた額を全部解約して、脱退することは認められないのです。さらに50歳以上でこれを始めた人は、60歳から一定期間経過後にしか受給できないなど、注意も必要です。

 この点、つみたてNISAはどうしてもお金が必要になり、預貯金だけでは不足しそうになった時、止むを得ないことではありますが解約することができます。

 長期にわたって積み立てていくのが、つみたてNISAの大前提ではありますが、いざという時にも対応できるという自由度の高さは、やはり魅力です。iDeCoほど覚悟を決めなくても、運用収益に対する非課税メリットを享受できるのです。

 もちろん、資金的に余裕があればiDeCoもぜひ併用してください。

 ですから、本当に資金的なゆとりがある方は、確定拠出年金とつみたてNISAを満額で行いましょう

20年間、月10万1000円を満額を積み立てていくと、
元本部分だけで2424万円、20年間で約4151万円に

 たとえば自営業者が、iDeCoと呼ばれる個人型確定拠出年金に加入する場合、毎月の積立額は最大6万8000円です。これにつみたてNISAで毎月3万3000円を積み立てれば、両方で月10万1000円を、非課税口座で積み立てられます。

 もし、これから20年間、両方で満額を積み立てていくと、元本部分だけで2424万円になります。そしてこの額を、年平均5%で運用したら、20年後の元本+収益はいくらになるでしょうか。

 なんと、約4151万円(非課税複利計算)です。

 基本的に自営業者は国民年金+国民年金基金しか公的年金が得られず、月々の年金額は非常に少ないのが現実です。

 もっとも、自営業者には定年がないからという考え方もできますが、問題は、高齢者になってまで現役と同じペースで働くのは困難だということです。いくら自営業者でも、ある程度の年齢に達したら、引退を考えなければなりません。

 その時、この積み立ては非常に強い味方になってくれるはずです。

 60歳の段階で、手元に4000万円のキャッシュがあったら、さらにそれを運用しつつ、資産を殖やしていくことによって、安定した老後生活を描くことができるでしょう。

 【A2】まずは、どんな世代でも購入できて、始める、やめるのハードルが低い「つみたてNISA」をおすすめします。次にiDeCo​を検討してください。

中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信代表取締役会長CEO
一般社団法人投資信託協会副会長、公益財団法人セゾン文化財団理事
1987年明治大学商学部卒業、クレディセゾン入社。2006年セゾン投信を設立。2020年6月より現職。つみたてで、コツコツと資産をふやす長期投資を提言。国際分散型投資信託2本を15年以上運用し、個人の長期資産形成を支えている。客観的な定量評価を行う「R&Iファンド大賞」最優秀ファンド賞を9年連続受賞。口座開設数16万人、預かり資産5000億円を突破。
主な著書に『最新版 投資信託はこの9本から選びなさい』『投資信託はこうして買いなさい』(以上、ダイヤモンド社)他多数。