Windows 11を一般ユーザーに普及させたいマイクロソフト

 また、マイクロソフトは2021年6月に発表したWindows 11の普及率がなかなか上がらないという悩みを抱えている。調査対象が企業か一般消費者かによっても異なるが、後者の市場向けでは公開から約1年経過した今でも3%強(Lansweeper調べ)~20%前後(AdDuplex調べ)に過ぎず、多くのユーザーはWindows 10やそれ以前のバージョンを使っているとのデータがある。

 この原因の一つにはWindows 11のシステム要件が高いことが挙げられる。自動アップグレードの対象が基本的にはインテルの第8世代プロセッサ以降、またはAMDのZen+世代以降に限定されているため、結果的に3~4年前のPCでも、その多くが除外されてしまうのだ。加えて、Windows 10と11を比較した場合、見た目やUIの差の割には機能的にはそれほど違いを感じられないため、面倒なアップデート作業を避けて、2025年までサポートされるWindows 10を使い続けようとユーザーが考えるのは致し方ない部分もある。

 アップグレードできなければマシンを買い替えることになるが、一般消費者の場合、企業に比べてソフトウエア資産への依存度が低いと考えられるため、iPhoneとの相性を優先してMacintoshに乗り換えないとも限らない。こうしたユーザーの流出を防ぐ意味でも、また、少しでもWindows 11へのアップデートを促す観点からも、マイクロソフトはiPhoneとの親和性を高める必要があった。それがiCloud写真の統合化につながったものと考えられよう。