サービス事業の拡大に力を入れるアップル

 一方のアップルは、近年、急成長したサービス事業の一層の拡大を狙っている。また、うわさされる広告ビジネスへの再参入(アップルはかつてiADというiPhone向けの広告サービスを展開していた)についても、最近の同社のポリシーに従ってプライバシーに配慮したものとなるだろうが、対象となるオーディエンスの多さが収益につながるため、広告配信のチャンネルとなる各種サービスのマルチプラットフォーム化は重要課題といえる。

 すでに実現したApple MusicのXbox(シリーズX、シリーズS、Oneが対象)対応も、ゲーム中のBGM需要の受け皿となるものだが、実はソニーのPlayStation 5向けには昨年からサービス提供が行われていたりする。

Xbox向けApple MusicアプリすでにApple Musicを利用できるXboxの画面例 Photo: Microsoft

 本来、クローズドな環境を好んできたアップルが、Windows環境で自社サービスを提供する動きに出られるのも、iPhoneやiPadの好調はもとより、Apple Silicon化されたMacintoshラインがかつてないほどの存在感を示し始めているからだ。かつては、iTunes Music StoreのようなサービスやiPhoneのようなデバイスを自社ハードウエアで囲い込むことによってMacの需要を支えていた面もあったが、今やMacは圧倒的なワット当たりの性能差によって単体でも十分分かりやすい魅力を備えるようになっている。そして、サービス事業も収益の柱の一つに育ったことから、マルチプラットフォーム化によってアップルというブランドへの親近感を持つ消費者を増やし、それを呼び水として、より親和性の高い自社のエコシステムへの誘導を図ろうとしているわけだ。