三菱電機が1年4カ月の調査の末に、品質検査不正に関する報告書を公表した。これまでも中間報告などを行っており、調査結果の発表は4回目となる。同社は、その最終報告書で、柵山正樹前会長が不正に直接関与していた事実を明らかにした。なぜ柵山氏はもっと早く不正を認めなかったのか――。その理由にこそ三菱電機の闇が隠されている。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

最終報告書でついに明かされた
前会長による不正への直接的な関与

三菱電機の看板三菱電機では21年の品質検査不正発覚から、同種の不正が相次いで発覚し、信頼を損なった Photo:Kyodo News

 2021年6月に三菱電機による品質検査不正が発覚してから続いていた社内の調査がようやく終了した。三菱電機はこれを節目に、事業の立て直しや成長のフェーズに移りたいところだが、簡単には“心機一転”とはいかないようだ。

 外部弁護士らで作る調査委員会が10月20日に公表した報告書によれば、品質検査不正は合計197件に上った。うち法律違反の疑いが10件、規格に関わる問題が11件、契約違反疑いが176件あった。

 不正の一部は1980年代から行われていた。管理職が関わった案件が62件もあり、組織的な不正であることが裏付けられた。

 三菱電機は、新たに発覚した不正を踏まえ、役員10人に報酬の減額や返納を求める処分を決めた。処分の対象者は合計22人となる。

 次ページでは、柵山正樹前会長も手を染めた三菱電機の品質検査不正が抱える本質的な問題に迫る。