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勉強ができる子どもはどのように学んでいるのか? 前回は「アウトプットする」ことで理解が深まることを紹介しました。今回は、理解を促進する学習方法に加え、算数・理科・国語・社会などあらゆる学科の内容を理解するために欠かせない「抽象的な概念」を、子どもが順を追って身に付けるステップについて説明します。(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)

※本記事は『勉強できる子は○○がすごい』から抜粋・再編集したものです。

質問を作成すると理解が深まる

 質問をつくらせることで理解が進むことが心理学の研究で示されている。

 たとえば、心理学者の秋田喜代美は、中学1年生を対象として、質問作成の文章理解に及ぼす効果を検証する実験をしている。質問を作成させる生徒たちには、「文章を理解できたかどうかを調べる質問を先生になったつもりでつくりなさい」と伝え、4問以上作成し、また答も書くように指示した。比較のために、こちらが質問を与えて解答させるグループと何もしないグループを設定した。質問をして解答させるグループの生徒たちには、各段落から最重要文と重要文を選ばせ、段落内容を整理させるような質問をした。

 その後で、読んだ文章の筋を覚えているか、また内容を理解しているかについてのテストを実施した。その結果、質問を作成した生徒たちの成績がとくに良いことがわかり、質問を作成することで内容の理解が促進されることが確認された。

 さらには、国語の成績上位者では、グループ間の成績の差はなく、とくに質問作成の効果はみられなかったが、成績中位者や下位者では、質問作成により内容の理解が促進されていた。

 なお、質問作成群がどのような質問をつくったのかを検討すると、成績上位群はとくに重要な文に関する質問を作成していたが、成績中位群や下位群はそうではなかった。それでも、その後の成績をみると質問作成によって成績は良くなっていた。