2022年秋の共産党大会で、序列2位となったのが李強(リー・チャン)氏だ。23年3月、同氏は首相に就任するとみられる。抜てきされた背景には、上海での産業政策やゼロコロナ政策において、習氏の考えに素直に従ったことが大きいだろう。中国経済は、ここへ来て一段と厳しさを増している。経済を担当するとみられる李氏だが、自身の政策立案手腕がどの程度かは未知数だ。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)
序列2位・李強氏の経済政策手腕は未知数
2022年秋の共産党大会で、習近平総書記は文字通りの一強体制を固めた。ただ、習近平政権が対処すべき中国経済は、ここへ来て一段と厳しさを増している。その意味では、経済政策の重要性が高まっている。その重責を担うのが序列2位となった李強(リー・チャン)氏だ。23年3月、同氏は首相に就任するとみられる。
これまで中国では、首相が経済政策の指揮を執ってきた。当面、李氏は不動産バブル崩壊の後始末として不良債権処理を進め、中国経済の構造改革を実行することが必要になるだろう。
ただ、李氏の経済政策手腕は未知数だ。同氏は、中央政府での政策運営の経験がない。今後、同氏がいかに円滑に経済政策を運営することができるかが、習政権の政策運営のカギを握っているといっても過言ではない。
このところ習氏は国内の権力闘争に主眼を置き、経済政策の優先順位は必ずしも上位ではなかった。また、「共同富裕」を掲げ、IT先端企業への締め付けを強めている。そうした政策は、中国のIT先端分野の成長力を阻害することも考えられる。
長めの目線で考えると、こうした習政権の政策によって、中国から流出する人材が増加し経済の活力はそがれる懸念がある。重要なポイントは、経済を担当するとみられる李氏が、習政権の政策をいかに補完していくかだ。