日本の鉄道における自動運転は、半世紀近く前には実現しました。しかし、新交通システムなどでの自動運転の導入はあるとはいえ、全国の都市鉄道や地方鉄道などで広く活用されているわけではありません。自動運転の導入は、それほどむずかしいことなのでしょうか。注目されているのがGoA2.5という考え方です。
※本稿は、西上いつき『鉄道運転進化論』(交通新聞社新書)の一部を抜粋・編集したものです。
日本独自の自動運転規格「GoA2.5」
日本の鉄道における自動運転は、半世紀近く前には実現しました。しかし、新交通システムなどでの自動運転の導入はあるとはいえ、全国の都市鉄道や地方鉄道などで広く活用されているわけではありません。自動運転の導入は、それほどむずかしいことなのでしょうか。
最初に大きな問題となるのが、設備面です。安全のことを考えれば、線路は、踏切などがある地上ではなく、高架化されているべきですし、駅ホームにはホームドアなど、人が簡単に立ち入ることができない設備が必要です。神戸市のポートライナーや東京都のゆりかもめなどの新交通システムは、自動運転を前提に建設されているので、開業時から人が簡単に立ち入れないといった条件をクリアしています。
しかし、踏切がある路線では運転士の乗務を前提としています。たとえば、街中でよく見る踏切は、遮断棒一本で仕切られているだけですし、乗用車が交錯する大きな踏切や、地方部においては、第4種と呼ばれる遮断棒さえない踏切が存在します。ホームドアが設置されていない駅も多く、プラットホームからの転落や列車との接触事故といった危険があります。とはいえ、線路の高架化工事やホームドア設置工事には、莫大な費用がかかります。
そこで注目されているのがGoA2.5という考え方です。