インプットをアウトプットにつなぐ方法とは?
蓄積したインプット情報を、まったく活用しないと宝の持ち腐れです。つまり、インプットをアウトプットへつなげることが重要なのですが、その架け橋になるのが「気づき」です。
いざ企画や提案などのアウトプットをしようとしても、自分の頭に何も蓄積がない状態では、新しいアイデアは思い浮かびません。しかし、インプットメモで「気づきの貯金」があると、課題解決のヒントとして有効活用できます。
たとえば、カミソリブランド・ジレットの「替え刃モデル」をご存知でしょうか。ジレットのカミソリはT型の軸となる本体部分を安くして、取り外しが可能な替え刃で儲けるビジネスモデル、つまりランニングコストで利益を稼いでいます。
これを知って「面白い」と思ってメモをしておくと、何か企画を考えるときの参考にできるかもしれません。あなたがもし、家庭用プリンターの開発担当者ならば、「替え刃モデル」にならって、「プリンター本体の価格を安く押さえて、インク代で稼ぐ」というビジネスモデルを発想できるでしょう(実際に最近のプリンターは本体が安いですが、インクが高いなあと思いますよね)。
これが、インプットをアウトプットに活かす真骨頂です。このように、ほとんどのアイデアは、自分が過去に得た「これは面白い」という気づきを、現状の課題に当てはめることで生まれます。つまり、考える力を高めるには、「気づきの貯金」を日々どれだけ増やせるかがカギになります。
必ずメモしておきたい「3つの気づき」
メモの種類と同様に、気づきにも3パターンあります。
●新しい発見…自分の知識、考え方の中に全くなかった情報
●自説の補強…自分と同じ考えの根拠や例示で説得力を補強できる情報
●気になる異論…自分の考えと違うが一理ある、視野が広がる情報
「新しい発見」といえるような気づきには、そう簡単には出合えません。それよりも、毎日コツコツと「何か参考になることはないだろうか」という視点で身の回りを観察し続けることが大事です。
そうすると、「自説の補強」となるような気づきを多く見つけられるはずです。たとえば自分が組織の意識変革が大切だと思っているのであれば、それを裏付ける有識者のコメントや関連するデータをメモしておく。ぜひ、自分の考えの正しさや説得力が増すような材料を積極的に探しましょう。
一方で、自分の考えと違っても、「これは一理あるな」と思ったものは、「気になる異論」としてメモしましょう。自分の視野を広げ、思考を客観的に見つめ直すヒントになるはずです。
(本稿は、ダイヤモンド社「The Salon」主催『考える人のメモの技術』刊行記念セミナーのダイジェスト記事です。「The Salon」の公式Twitterはこちら)