ジャクソン・ポロックの絵画「Blue Poles」誰でも描けそうな絵画の真の魅力とは?写真はジャクソン・ポロックの絵画「Blue Poles」の横で談笑する人々 Photo:Carl Court/gettyimages

先日、鳥取県の美術館がアンディ・ウォーホルの作品「ブリロの箱」5点を3億円で購入したことが話題の現代アート。その魅力はどこにあるのか。便器や絵の具を飛び散らしたような絵画が美術館に展示されていたら、アートと言えるのか? わからないからこそ、「現代アート」を「難解」と感じる人は多いのだと思います。しかし実は、小学生でも現代アートの魅力がわかるほど決して難解ではなく、誰でもわかります。芸術学者、批評家、布施英利氏の著書『現代アートはすごい デュシャンから最果タヒまで』(ポプラ社)では、さまざまなアーティストをとおして、現代アートの魅力、楽しみ方が掲載されています。今回はその一部をご紹介します!

誰にでも描けそうな絵画はアートとして成立するのか?

 ジャクソン・ポロックという画家は、絵の具を飛び散らしたようなアート、絵の具をただ垂れ流しただけのような絵画を描いた。こういう作品こそが、「現代アートって、どういうもの?」といった時に第一に例として挙げられる、現代アートを代表する、現代アートの象徴的な作品ともいえるものだ。

 ただ描きなぐっているだけの絵画。こんなの、誰にだって描けるだろう。普通は、そう考えてしまう。これのどこがアートなのか。絵の具を筆につけて、ただ画面に向かって筆を動かし、絵の具を投げつければいいだけ。あるいは、缶からそのまま垂らすだけ。

 しかし、ポロックの絵画は、どこか「力」がある。絵画に生命というものがあるなら、まさにポロックのような作品は、そういう力を宿している。