「ある程度の臨床経験があれば、どの病院にどのような専門医がいるかはわかります。ただし、自分の腕を信じすぎている医師は、病名がわからないことなどを認めたがらず、患者さんを抱えてしまう傾向がある」
なお、大きな病院はどこも手術など、専門的な治療が必要な患者さんを送ってほしいのが本音なので、基本的に紹介を断られることはない。つまり、開業医は自由に紹介先を選べるわけだ。
一方で、病院側は開業医のレベルを実はシビアに見ているという。
「紹介状を見ればレベルはすぐにわかるはずです。原因不明の症状があって、患者さんを病院に送ってくる場合も、レベルの高い医師は、原因不明と判断した理由をていねいに記載している。レベルの低い医師は『よろしくお願いします』の一言で終わり。病院勤務の時に何度も経験しています」
急性疾患やがんなどの病気は、疑いの段階で病院に紹介されることが多いが、精密検査をすると、高レベルの開業医からの紹介患者ほど、「当たる割合が高い」と言う。
「野球の打率と同じです。そうした意味で、打率が低い開業医は、『また、あのクリニックからの紹介か』などと病院の医師に言われている可能性はあります」
逆に言えば、全ての病気を当てられる開業医はいないということでもある。
「プロ野球の世界では生涯打率3割を超えれば名バッターと言われます。イチローも例外ではありません。病名を間違えた場合は、なぜそうなってしまったのかを振り返り、間違えた理由をよく覚えておくことが大事。これは開業医として、名医になるための秘訣だと思います。これを繰り返すと、当たる確率が徐々に高くなっていくのです」
あらためて、いいかかりつけ医を選ぶポイントを聞くと、中西医師は、
「私たちが常にめざしている、なんでも相談できる医師、がそのまま、当てはまるでしょう。患者さんの立場からすれば、話しやすい、相性がいい医師かもしれません。なお、すべての患者さんが満足できる医師はいません。ご家族が診てもらってよいと感じているなど、看護師さんなど医療関係者の口コミを参考に、かかってみるといいと思います」