計算力の強化のために「暗算」は強力な武器
算数で暗算の代表格は九九です。今の算数の教科書をみると、九九以外にもいくつか暗算が載っています。一方で、11×11~19×19について、その暗算法を紹介している教科書はありません。
計算力の強化のために「暗算」は強力な武器だと言えます。暗算できる計算の範囲をやみくもに拡げることが必ず良いとは思いませんが、小学生が11×11~19×19を暗算できるようになって計算力を伸ばすのがベターというのが私の考えです。
ただし、公立小学校で使う教科書に、11×11~19×19の暗算法をすぐに載せるのは容易ではありません。そこで、私が提案するのは「まず全国の私立小学校と学習塾で、11×11~19×19の暗算を、算数のカリキュラムに導入しよう(今回の新刊を、算数の副教材にする)」という提案です。
11×11~19×19の暗算ができる「おみやげ算」について、本記事の冒頭で紹介しました。また、「おみやげ算で11×11~19×19の計算ができる理由」について、本連載の第2回で紹介したように、文字式を使って証明しました。
文字式での証明は中学数学の範囲ですから、これをこのまま小学生に説明するわけにはいきません。では、小学生にはどのように説明すればよいのでしょうか?
小学生には、長方形の面積図を使って、おみやげ算で計算できる理由を解説できます。その方法について、ここでは誌面の都合で割愛しますが、新刊『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』の巻末に掲載しています。
現在のカリキュラムでは、小学4年生で「長方形の面積の求め方」について学びます。そのため、長方形の面積について学んだ後に「おみやげ算」を教えれば、「おみやげ算で計算できる理由」も含めて、小学生に伝えることができます。日本の小学生の計算力、ひいては算数の力を伸ばすために、11×11~19×19の暗算を導入することをおすすめします。