1対1のコミュニケーションは
オンラインでも効果あり
ただし、実際にオンラインでセミナーの司会や、研修の講師などを多数実施している経験から言うと、オンラインの使い方も、工夫次第で対面よりも優れた効果を生む場合も多数あるように思われる。
たとえば、オンライン研修は講師から全体へ質問を投げかけ、回答を(ランダムに指名して)各受講者が話した後、その答えに対する質問を講師が再度投げかけ、再び質問者が答える、といったone on one コミュニケーションをリズム感よく、また数人の受講者とやり取りすると、疑似的な対話空間ができあがる。その場合は、オンラインのほうが対面よりも一対一の感覚が強い(他の参加者の反応を気にせず話せる)ので、本音ベースの意見交換となり、講師と参加者の関係性も近くなり、他の参加者にも共感をもって聞いてもらえる。
つまりオンラインで多数が参加するセッションでありながら、1対1の濃密な関係性がその会議全体にも織り込まれ、それを全員で共有することができるのだ。
また、参加者の脳の感情をつかさどる部位を起動させるため、あえて二つにグループ分けをして、グループ対抗で論争をしてもらう(部族意識を高めてもらい対抗意識をあおる)、といった方法や、グループで意見をまとめるのではなく、個人が、自分が持つ問題に答えを出すために他のメンバーから意見をもらい、最終的には自分がどうするかを考える、という形での3人程度のグループセッション――いずれも参加者が主体性を持っていることが前提であるが――などは、きわめて有効である。このような利用方法なら、オンラインでもセッションや会議で高い効果が見込めると思う。