断食を行う上で
注意すべきこと

 多くの効果を期待できる断食だが、実際に断食するに当たって注意を払うべきこともある。

「注意すべきは、断食明けの回復食です。断食直後に、ラーメンやチャーハンといった重たいものを食べてしまうと、逆に体の不調を招きます。おなかがすいたからといって断食明けに消化の負担が重い食事を取れば、せっかく排出した不要なものを短時間で体に取り込んでしまうことになります」

 また、断食中は血糖値が上がりにくく血圧も下がり気味になるため、もともと低血糖や貧血、冷え性の人は断食を取り入れない方がいいそうだ。

「本当に危険なのは、水断食です。食事を全く取らずに水やお茶しか飲まないと、とにかく苦しくて断食を継続する気力が続きませんし、筋肉の分解が進み過ぎて代謝が働かなくなってしまい、断食の効果が得られなくなる場合も多いです。絶対に行うべきではありません」

 何の栄養も取らない極端な断食を敢行して、栄養失調で倒れてしまっては元も子もない。断食のコツは、空腹を感じたときでも、体が軽く頭がさえた最高のコンディションを維持できていると「楽しむ」ことなのだそうだ。

「『ずっと断食をしなければいけない』と、強迫観念のように断食に取り組む必要はありません。ある日友人と食事を楽しみ過ぎてしまったから他の日に断食を取り入れて整えてみよう、そういったバランスで楽しみながら取り組んでほしいです」

 忙しく働くビジネスマンほど、普段一生懸命働いてくれる自身の体をいたわる「断食」の時間が必要なのかもしれない。

石原新菜氏
2000年4月帝京大学医学部に入学。2006年3月卒業後、帝京大学病院で2年間の研修医を勤めた後、父・石原結實氏のイシハラクリニックにて主に漢方医学、自然療法、食事療法により種々の病気の治療に当たっている。イシハラクリニック副院長。ヒポクラティック・サナトリウム副施設長。著書に『病気にならない蒸しショウガ健康法』(アスコム)、『「体を温める」と子どもは病気にならない』(PHP研究所)などがある。