「やりがい」「生きがい」は
不確実性の時代でも「確かなもの」
――会社選びでは「やりがい」という視点も大事だと思います。
その仕事は、その会社は世の中の役に立っているか、人のためになっているか、という視点は非常に重要だと思います。
自分が働くことで誰かが喜んでくれる。自分の仕事を必要としている人たちがいる。こうした仕事から得られる「やりがい」や「生きがい」は、変化の激しい不確実性の時代にあって決して変わらない「確かなもの」なんですね。
時には「給料は高いけどやりがいのない仕事」と「給料は安いけどやりがいがある仕事」で悩むこともあるでしょう。給料ももちろん大事ですが、仕事はそのためだけにするものではないはず。
これから先、自分の生涯をかけて働いていくのであれば、やはりやりがいや働きがい、生きがいに重点を置いた仕事選び、会社選びをしてほしいと思います。
――最後に、不確実性の時代を担う学生にエールをお願いします。
よく学生たちから「私たちが社会に出てから先、世の中はどう変わっていくのでしょうか」と聞かれますが、私は決まってこう答えます。「こんなおじいさんに聞くなよ。分かるわけないだろ(笑)。若い君たちが自分で考えるんだよ」って。
「未来を予測する最良の方法は、未来を創ることだ」とはピーター・F・ドラッカーの言葉です。未来がどうなるかなんて誰にもわかりません。ビル・ゲイツだってスティーブ・ジョブズだって分からなかった。だから彼らは、自分で未来をつくり出したんです。不確実性の時代は考えようによっては「ワクワク・ドキドキの時代」でもあります。「ここでお化けが出ます」と分かっているお化け屋敷に行っても楽しくないでしょ(笑)。
それと同じで、未来がすべて分かっている「確実な人生」ほどつまらないものはない。
就活に臨む皆さんも「自分で未来をつくってやろう」「不確実な時代を楽しんでやろう」というくらいの気概を持って、社会に踏み出してほしいと思います。
>>「池上彰氏インタビュー(上)」を読む。