規制や法律で守られている産業も
業界再編の可能性がある

――規制緩和による構造変化は他の産業でも起きています。

 流通産業では00年に大規模小売店舗立地法(大店立地法)が施行された途端、大型資本のショッピングモールの出店が加速し、既存の商店街がシャッター通り化するケースが急増しました。

池上彰氏に聞く就活「今の人気業界に入るのが必ずしもいいとは言えない理由」いけがみ・あきら/ジャーナリスト。
1950年生まれ。長野県出身。慶應義塾大学卒。73年NHK入局。報道記者、キャスターを歴任後フリーに。ニュース解説の第一人者として活躍。2016年より名城大学教授、東京工業大学特命教授。
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 物流産業にしても規制緩和によって、それまで都道府県単位だった営業区域が全国へと拡大されたことで、一気に競争が激化。その結果、中小の運送会社が次々に倒産して大手業者に吸収合併されていったわけです。

 このように規制や法律で守られている産業であっても、それがなくなった途端、自由競争にさらされて苦しい状況に陥ってしまう可能性があるということです。

 会社選びにおいてもこの視点はとても重要になるでしょう。

――では、不確実性の時代において発展性や将来性が見込めるのは、どんな企業でしょうか。

 難しい問題ですが、やはり変化する社会情勢やニーズに沿って発想の転換や業態のシフトチェンジができる柔軟性があるかどうかは、とても大事な観点です。

 企業というのは生き物です。時代と共に変化し、新陳代謝をしていかなければ、やがて衰え、いつかは寿命が来てしまいます。

 でも、そこで世の中の変化に対応し、時代に合わせて経営方針の転換を断行できる企業には、再び生き返って、また伸びていく可能性も出てくるんですね。

*「池上彰氏インタビュー(下)」(12月15日公開)に続きます。