1990年代以降は
各業界で再編が加速した

 平成以降の日本経済における大きな転換期は、バブル崩壊、金融危機、歴史的な円高、リーマン・ショック、コロナ禍など。

 経営環境に応じて、企業の業績や経営方針は変化してきた(下図参照)。バブル崩壊後に景気が急速に悪化した1990年代以降、各業界は再編の波に飲み込まれた。

 例えば金融業界では、山一證券、日本長期信用銀行などが経営破綻。2000年代に入って大手銀行は3メガバンクに集約された。

 商社業界でも大手の日商岩井とニチメンが経営統合し、双日が誕生している。

 さまざまな業態の企業による合従連衡が進んだのが、小売業界だ。ダイエーが産業再生機構入りを経てイオングループに加わったのは、象徴的なケースだった。

 電機メーカー各社は、家電・半導体ビジネスで欧米企業やアジアの新興企業に追い上げられ、事業の選択と集中を進めた。

未来予想に必要な
四つのポイントとは?

 こうして見ると日本の産業界は、経験したことのない環境変化に直面するたびに、新しい業界秩序やビジネスの仕組みを生み出してきたことが分かる。

 未来についても同じことがいえる。これからどんな環境変化が起き、企業がそこでどんな強みを発揮できるかで、業界の将来性を読み解くことができそうだ。下図は、日本経済や産業界に近い将来訪れるであろうイベントや現象をまとめた「未来年表」である。

 ここからは、あらゆる業界のビジネスに関係してきそうな課題が浮かび上がってくる。ニューノーマル、人口減少、高齢化、持続可能な社会などだ。

 ニューノーマル消費や持続可能な社会の実現に対応した商品・サービス・インフラを提供できる業界は、これから伸びていく可能性がある。コロナ禍や高齢化により働く意識が変化する中、社員のキャリア形成をサポートできる業界には優秀な人材が集まるだろう。ITなど就職人気が安定的に高い業界には、環境変化の中で進化を続け、これらの課題に幅広く対応できる潜在力がある。

 連載「親と子のための業界・企業研究2023」では、12月19日以降にコンサルティングや総合商社、金融など注目の16業界を取り上げる。「進化する就職人気鉄板業界」「持続可能な社会のインフラを支える業界」「ニューノーマルな暮らしを豊かにする業界」「人生100年時代の働き方をサポートする業界」に分類して、企業分析のプロへの取材を基に、今後の見通しを紹介する。