【2位】
「青春って、すごく密なので」
高校生にとって「密」というコトバには、本来、「熱く、かけがえのない人間関係」を表すポジティブな語感がありました。
ところが、コロナ禍以降、食事や友だちとの交流という日常生活を制限するための合い言葉に変化してしまった面があります。
本来の前向きな意味を思い起こさせる点で、今回、強く印象に残る伝え方と評価されました。
このコトバにかんする審査員のコメントをご紹介します。
堀江貴文さん(実業家/著作家/投資家/タレント)
「密って言葉をネガティブからポジティブに変換する、というような意図はなかったとは思うけど、結果としてそんな表現となった。いつまで経っても新型コロナウィルスを特別扱いしかできず子ども達にマスクを強要する社会への強烈な皮肉となっているのが良い」
坪田信貴さん(『ビリギャル』著者/坪田塾 塾長)
「『密』と言うコロナの時代直撃のある種のバズワードと、『青春』と言う古くて、誰もが若かりし頃を思い出すレトロなワードとの組み合わせ。そして、『青春が密』と言うのは、人間関係や愛情、努力、友情、受験など若者だからこそ耐えられる複合的な濃密さを端的に表現されているのが詩的だなと感動しました」
土江英明さん(ダイヤモンド社書籍編集局 第4編集部)
「2022年の時代を表す言葉かなと思いました。ネガティブな言葉として使われていた「密」をポジティブに変換して使われているということと、監督の「球児だけでなく全国の高校生」とか、父兄の方にもすごく心配りされている、すごく伝わるあったかい言葉だと思います。(半年たった今も)この言葉は印象に残っているので、きっと多くの人に届いているんじゃないかなと思いました」
そして、第3位には、スマートウォッチが通知した、次のコトバが選ばれました。
【3位】
「深呼吸してください」
この通知をめぐるエピソードをTwitterで投稿したスサノオさん(@susano_com)によると、彼が仕事のミスで上司から呼び出された際、心拍数の急上昇を感知したApple Watchが、とっさにこの緊急通知を表示したということです。それを見た上司は「今回は許したるわ」と言って顔をゆるめ、ミスを見逃してくれたといいます。
このコトバを巡っては、審査員から次のようなコメントが寄せられました。
福岡 元啓さん(プロデューサー/文教大学非常勤講師/『情熱大陸』元プロデューサー)
「現代を風刺するシチュエーションが面白く、人々が冷静さを失ったときに、アドバイスするのがAIであるというパラドックスも面白いです。自分もイラっとしたときとかに、深呼吸してくださいって客観的にアドバイスできる人(なのかAIなのかわかりませんが(笑))が傍らにいたら、人生快適に過ごしていけるような気がしました。人の感情をAIになだめられるというほっこりエピソードです」
佐々木 圭一さん(『伝え方が9割』著者/コピーライター/株式会社ウゴカス代表)
「技術が人の心を動かすって『すごく今っぽいな』と思います。今までも、言葉が人の心を動かすことはあったと思うんです。例えば、『本を読んでいてジーンときました』とか『話していてジーンときました』とかはあったと思うんですけど、科学技術が気持ちを動かすって、とても面白いなと感じます」
さて、以上が、グランプリから第3位のコトバでした。
つづいて、第4位から第10位に選ばれたコトバを一気にご紹介します。
(※「伝え方研究所」の発表に基づく)