暗号資産(仮想通貨)交換業者FTXが経営破綻に追い込まれる直前、創業者サム・バンクマンフリード氏は、市場の不安定化を狙っていると警戒した同業他社の幹部から激しい追及に遭っていた。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認した通信記録や関係者の話で明らかになった。業界関係者の間では、FTXの破綻回避に向けたバンクマンフリード氏の瀬戸際の行動が、ステーブルコインの「テザー」や、ひいては暗号資産市場全体の安定を揺るがすとの懸念が広がっていた。暗号資産交換業最大手バイナンスのチャンポン・ジャオ最高経営責任者(CEO)は11月10日、メッセージアプリ「シグナル」のグループチャットで、法定通貨とペッグ(連動)するステーブルコインを巡り、ペッグ崩壊を招くような動きをやめるようバンクマンフリード氏に警告した。WSJが確認した記録によると、ジャオ氏は「何もするな。今すぐやめて、これ以上の害を引き起こすな」と述べている。