ゼロコロナ政策が急旋回、戸惑う人々
中国でかたくなに推し進められてきたゼロコロナ政策は12月に入って、あっさりと緩和された。北京、上海、広州などの主要都市は相次いでゼロコロナ政策とは逆方向の緩和措置に踏み切ったのである。
そんな中、香港は、正常な秩序を取り戻す新措置をテストする舞台になっているようだ。12月14日から、外部からの入境者に課していた新型コロナウイルス感染対策の行動制限を撤廃すると発表。中国本土で公共の場所に入るために必要とされていた行動履歴アプリを廃止したのを受けて、香港も同類のアプリの廃止に踏み切った。入境時と翌日のPCR検査と5日間の抗原検査は求められているが、これまでの対策とは大きく方向を転換した。
さらに、来年1月9日からは、香港から中国広東省に入る強制隔離も撤廃し、3日間の自宅観察だけで済む方向へ移行する情報もささやかれている。中国全体の水際対策がこの方向へ移行するとみられている。
今回の急な軌道修正は、中国本土に大きなショックと混乱をもたらした。ゼロコロナ政策の廃止に対して、支持率は高いが、隔離措置を懐かしむ人たちも決して少なくはない。
また、行政と一部の医療専門家は人々に誤った情報を植え付けた面もあり、解熱鎮痛剤などの薬を大量にため込んだケースが各地で見られた。薬の多量服用で肝臓に問題を起こしてしまって病院に駆け込んだ人もかなりいた。
北京などの病院では、発熱外来に人が殺到し、在中国日本大使館も担当スタッフの感染でビザ業務を一時停止することになってしまったほど混乱した。また、緩和策を喜んで迎えたはずの外食業は厳しい状態に陥っている。人々は感染を恐れ、人が集まるレストランでの外食を避けるようにしているのだ。レストランの経営事情は依然厳しい。
しかし、これを機にチャンスをつかもうと動き出した人々もいる。