中国が経済救済「245兆円プロジェクト」立ち上げも、異論噴出のワケ写真はイメージです Photo:PIXTA

誕生日祝いも買えない!ゼロコロナが市民から非難

 6月に入って、上海でも一応、ロックダウンが解除された。その喜びも束の間、上海市民は別の心配をしなくてはならなかった。

 まず、レストランは店舗内での接客を認められなかった。また、PCR検査も依然として必要以上に厳しく求められている。

 中国では次のような報道もある。

 ある80歳を超えた女性が自分で誕生日を祝おうと、近くにある第六食糧店という食糧品販売専門店に「長寿麺(長生きを祝って食べる麺)」を作るための麺を買いに行った。しかし、店の前で店員にスマートフォンに表示される健康コードの提示を求められた。携帯電話を持っていないから、店内に入るのをあっさりと断られてしまった。

 ぼうぜんと店の外に立ちすくんでいた女性に、偶然通りかかった人が助けの手をさしのべ、女性に代わって店に入って麺を買おうとした。しかし、健康コードの裏付けとなるPCR検査の結果を示す携帯電話の記録を店側に見せたら、この通行人も入店を断られた。PCR検査結果が有効期限の72時間以内のものでなければならないのに、通行人の場合は数時間オーバーしてしまっていたからだ。

 わずか1メートルも離れていない店頭に置いてある麺を、おばあさんと通行人はいくら懇願しても買うことができなかった。

 ゼロコロナ政策が、日常生活をいびつな状態に変質させてしまった典型例として、世論から厳しく批判されたが、大きな改善は期待できそうにない。