新駅の目玉となる
二つの「世界初」

 さて、そんな「うめきた新駅」を発着する列車は「はるか」が上下各30本、「くろしお」が上下18本で、大阪駅から関西空港駅が20分短縮(関空快速との比較)、和歌山駅が33分短縮(紀州路快速との比較)となる。

 新型コロナ以降、航空需要が落ち込む中、「はるか」の利用は低迷している。そこでJR西日本は特急の大阪停車を、和歌山~大阪~京都間の通勤利用拡大に結び付けたい模様だ。

 平日午前7~9時台に大阪駅に到着する特急列車の本数は、草津・京都からの列車は5本増の11本、関西空港・和歌山からの列車が8本新設となる。JR西日本はインターネット予約サイト「e5489」でチケットレスサービスを提供しているが、2023年春から1カ月間、全区間を一律390円とする「J-WESTチケットレス390」を発売するキャンペーンを展開する。

 もう一つ「うめきた新駅」に乗り入れるのが、「おおさか東線」だ。同路線は、関西本線久宝寺駅から放出駅を経由して梅田貨物線に乗り入れ、新大阪駅まで運行しているが、これを延長し、普通列車上下67本と直通快速上下4本が大阪駅発着となる。

 この「うめきた新駅」はJR西日本が「技術ビジョンを具体化する未来駅」と位置付ける、ショールームとも言うべき駅になる。技術ビジョンとは同社が2018年に策定した「おおむね20年後のありたい姿の実現を技術面から模索していく」ための指針である。

 新駅の目玉となるのがともに「世界初」となる「デジタル可変サイン」と「フルスクリーンホームドア」だ。

 デジタル可変サインとは、分かりやすく言えば個人向けの案内板だ。通常の案内看板は老若男女あまねく人々を対象に情報を発信している。そのため仮にそこに答えが書いてあったとしても、自分が必要な案内がどれなのか判別できず、迷ってしまう人も出る。そこで一人一人にカスタマイズされた案内をしようというのだ。

「One to One」と名付けられたそのシステムの仕組みは、スマホアプリで目的地を設定すると、ビーコンの電波で位置を認識し、ディスプレーに案内を表示するというもの。ディスプレーはうめきた地下口付近のコンコース、通路などの分岐点付近のつり下げ看板7カ所に設置する。

 だが、複数の人がアプリを利用したら、案内はどのように表示されるのだろうか。JR西日本に聞いてみると、案内は同時に3人分が表示可能で、アプリ上で設定した自分専用のアイコンとともに表示されるという。4人目以降は案内板がスクロールする。

 同社は開発の目的を「利用者のシームレスな移動を実現するためには、鉄道に不慣れな方や日本語が分からない方などへ、一定の属性に配慮した情報提供がリアルタイムに必要だが、限られた案内スペースで情報をタイムリーに提供していくためには、一定の可変性が必要と考えた」と説明する。

 目的地が公に表示されるなど、必ずしも万人に勧められるサービスではないが、試みの一つとしては興味深い。現時点では大阪駅の別エリアや他駅に展開する予定はなく、事実上、実証実験という位置づけのようだ。

 また「可変」サインということで、個人向け(one)の案内だけでなく、一般向け(mass)の案内も列車案内、ダイヤ乱れ時の運行情報、災害時の避難経路などを随時切り替えて表示する。これは効果のありそうな取り組みであり、ぜひ他駅にも広げてほしい。