多様な候補者を擁立できる「比例代表制」が
落選する議員の救済制度になってしまっている
三浦 衆議院選挙には「重複立候補(※2)」があるんですね。
小選挙区で敗退した候補者のうち、惜敗率(※小選挙区の得票数をその選挙区の当選者の得票数で割ったもの)が高い順から復活当選していくのですが、重複立候補の全員が比例名簿の第1位に並ぶことも珍しくありません。
比例ブロックに重複候補が20 人いたとしたら、女性はそのうち2〜3人程度しかいなかったりするんですね。選挙に負けた政党の場合は、比例候補のうち、重複候補が惜敗率の順で比例復活していき、比例単独の候補にまで順番が回ってきません。
せっかく日本には比例代表制があって、女性を含む多様な候補者を擁立するために使うこともできるのに、実態としては、重複立候補によって落選する議員の救済制度になってしまっているわけです。
小泉元首相は、比例名簿の1位を、比例単独の女性候補者にしたり、重複立候補に女性が2人いたらその2人を1位に載せるとか、そういうことをしたんですね。
党首がリーダーシップを持ってそうしたことを行うのはひとつの方法ですが、それだと、男性たちが「なぜ女性だけを優遇するのか」となる。後継の自民党総裁たちは小泉流のクオータを踏襲しませんでした。
一番シンプルなのは、法律を変えて、重複立候補そのものを廃止することですが、これは現実的に難しい。名簿の順位を争って、党内抗争が激化するからです。
ですので、私の案としては、重複立候補者を男性グループと女性グループに分けて、それぞれのグループ内で、惜敗率によって交互に当選させていく。これが現実的な案であり、男性からの納得も得られやすいのではないかと思っています。
長野 重複立候補をやめさせればいいのにと言うと、政治家の皆さん、全員、シーンとなってしまいます(笑)。
三浦 比例名簿の順番をつくる時、最後のほうを見ると誰が落選するかわかってしまいますからね。