世界最大の機関投資家で、われわれの年金資金を運用する年金積立金管理運用独立法人(GPIF)は、どのように運営され、さまざまな課題にどう向き合おうとしているのか。めったに単独インタビューに応じない理事長の宮園雅敬氏が今回ダイヤモンド・オンラインの取材に応じた。GPIFは、2001年に設立され、20年余りの歴史を持つ。その間に、もともと100兆円だった資産は、2倍の200兆円まで膨らんだ。初回は、巨艦のかじ取りを担う宮園氏に、運用方針とこれまでの成果について聞いた。(名古屋外国語大学教授 小野展克)
世界的な金融不安、
年金財政は大丈夫か
GPIFが2022年11月4日に発表した2022年7~9月期の保有資産の運用損益は1兆7220億円の赤字だった。運用成績の赤字は1~3月期から3四半期連続。3四半期連続の赤字は、リーマン・ショック以来で約13年ぶりとなる。
GPIFは国民が年金の保険料として預けたお金の一部を運用しているだけに、運用の赤字が続くと年金財政に悪影響が出る可能性がある。
グローバルに起こった急激なインフレに対応するため、米国のFRB(連邦準備制度理事会)など世界各国の中央銀行は利上げに転じている。こうした世界的な金融引き締めが景気後退への警戒感を生み、7~9月期は米国の株安など金融市場に動揺を生んだ。
こうした影響を受けて、GPIFの7~9月期の資産別の損益はいずれも赤字になった。
資産別の赤字額は外国債券が7644億円、国内債券で3982億円、国内株式で3679億円、外国株式1916億円。7~9月の資産運用の損益率はマイナス0.88%となった。この結果、今年9月末時点の運用資産が192兆968億円となった。
では、GPIF理事長の宮園は、この結果をどう自己評価しているのか。