次は戸建てについて見ていこう。2022年当初は「コロナ特需」で戸建ての売れ行きが良かった。しかし、今では戸建てにおけるコロナ特需はもう終了し、住宅展示場や建て売り現場の来場者は以前の水準に戻っている。

 そんな中、本連載の『戸建てをお得に買う方法、資産価値に差をつける「意外なもの」とは』では、資産価値を左右する意外な要素として「熱源」を紹介した。

 都市ガス・プロパンガスのどちらのガス管が引かれているかで、物件の価値も変わるのだ。

 というのも、プロパンガスは都市ガスの約2倍の光熱費になる。円安とエネルギー調達価格の高騰で光熱費は来年も大幅上昇が見込まれている。

 この記事では、戸建ての立地選びで失敗し、プロパンガスしか使えない物件に住んでしまうと生涯で200万円の差が出ると書いた。だが足元では、損失がそれ以上になりそうな状況だ。熱源を物件購入の判断材料にしておかないと一生後悔することになりかねない。

自分の「身の丈に合う区」を知る上では
そのエリアの「平均年収」も重要

 筆者にとっては、マンション市場と他の分野を組み合わせて、個人的に新たな視点で見ることを心がけた1年でもあった。

 例えば、新たな試みとして不動産選びと「教育」「年収」を組み合わせ、公立小学校における教育レベルの判断材料の一つとして「学区別世帯年収」を算出した。

 その結果と具体的な数値は、『東京23区の小学校「年収トップ校」ランキング、教育環境が良い家選びのコツとは?』の記事にまとめている。

 この記事では、小学校の学校選択制が続々と廃止になる中、子どもの教育環境と家選びをどうすべきかを考察しており、今年の本連載の記事では最も読まれている。

「平均年収」と不動産を組み合わせて論じる取り組みの一環で、東京23区におけるマンション居住者の平均年収を推計したこともある。

 その結果は『東京23区「マンション居住者の平均年収」ランキング、自分の身の丈に合う区は?』にまとめている。

 この記事にも書いたが、マンションは集合住宅ゆえに、他人と同じ屋根の下に住まなければならない。その際に、生活レベルや考え方が違う人たちとは暮らしにくいものだ。